内容説明
密造酒とフラッパーとガーシュイン…。ニューヨークの街角に生きる顔役、ギャンブラー、踊り子、新聞記者たちの、それぞれの〈アメリカの夢〉。ロマンチックでオカシクて、そして非情。アメリカン・ユーモアの鬼才デイモン・ラニアンの傑作スラップスティック・コメディの一品料理をどうぞ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hotspur
2
デイモン・ラニアン1冊目。映画『野郎どもと女たち』やフランク・キャプラの遺作『ポケット一杯の幸福』の原案作家として知ってはいたが、読むのは初めて。新聞記者の観察眼による「ジャズ・エイジの気分を伝える」ブロードウェイ物の短篇集。訳者加島祥造氏は「面白くて訳した」とし、「理屈はあとで考えた」と述べているが、まさに理屈抜きの楽しさ。一人称(名前は出ないが顔が広い)の話法も独特だが、リング・ラードナーとタッチが似ていて実に洒落てる。訳者解説も秀逸。2020/10/02
takeakisky
1
やっと辿り着くラニヤン。哺乳瓶金庫破り以外はタイトルを見ても思い出せないくらいひさしぶりに読む。しようのない都会っ子絵巻。こういうけちな悪党みたいな人々が暮らしを立てていかれた時代は、こっちから見ると古き良き時代。同年代で、どちらもスポーツコラムニストのラードナーとは、どうしても並べて見てしまう。一番の違いは、弱きもの、子供や動物が出てくるところ。目につくのは、構成で読ませるところ。本人たちには得だか損だか分からないが、どちらも面白く、どちらも好き。たくさんにやりとする。2025/07/01