内容説明
小説とは遺書を書くことだ。詩や小説を書くことは、救済の装置であると同時に一つの悪である。しかし、にも関わらず書き続けてきたのは、書くことがわたしにはただ一つの救いだからです。
目次
贋世捨人の三畳間
文学を生きる
人生の四苦八苦
強迫性障碍を生きる
文学という救い
迷いの海を泳ぎぬけ
恐怖の旅
車谷長吉氏への質問函
著者等紹介
車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20年、兵庫県飾麿市(現・姫路市)生まれ。慶応義塾大学文学部独文科卒業。広告代理店、総会屋下働き、下足番、料理人などを経て、平成4年に上板した初作品集『鹽壷の匙』で藝術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。平成9年に『漂流物』で平林たい子文学賞、平成10年に『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞、平成13年に「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おじいやん featuring おじいちゃん( ̄+ー ̄)
36
小説は虚実の両輪があって初めて成り立つのです。 言い切る清々しさあっぱれ! 半生はなんだかな〜。 他者からの承認欲求異様に強いよねこの人。2017/07/12
すーぱーじゅげむ
8
この作家に興味があって、図書館でなんとなく手に取りました。月に一回警官が家に来て「脅迫電話や手紙は来ていませんか」と聞いてくる、というのが面白かったです。「車谷を殺したいと言っている人リスト」を警察が見せてきて「やっぱりなー」という反応も面白いです。大雑把な警備だなぁ。次は小説に行ってみたいと思います。2023/08/27
グラスホッパー
6
久しぶりに読んだ、車谷長吉。世界一周旅行をしたあたりから、マイルドになったようだ。それにしても強烈な人生だ。2019/08/06
ウメ
5
小説とは嘘を書くもの。実点ではなく虚点を書くもの。上手に嘘をつく能力がなければ小説家にはなれない。納得。車谷氏の鋭さや観察眼はこの虚点の産物なのだなぁ。それにしても車谷氏の人柄がよう伝わるエッセイだ。2013/08/20
こけこ
3
車谷氏の素敵なエッセイ。「悪」が必要なのか。マイナス要素がいっぱい書かれており、読んでいるうちに暗い気分になるはずなのに、なぜかどんどん読めた。やっぱり悟った人は強い。2024/07/12