内容説明
真に自由な哲学の出発点に立たんとする者は神さえ放棄しなければならない。ハイデガーが読み解くドイツ観念論の秘密。
目次
序論的究明(シェリングの著作と解釈の課題;シェリングの生活資料と、著作集および彼に関する著作;シェリングの自由への問いは存在への歴史的な問いかけである ほか)
A シェリングの論文における最初の究明の解釈(学問的な世界観全体のなかでの自由;体系とはなにを意味するのか、また、哲学においてはなぜ体系が形成されることになるのか;近代の体系構想の概略 ほか)
B シェリングの論文の「序論」の解釈(体系への問いと汎神論;汎神論のさまざまな解釈の可能性;汎神論と存在論的な問い ほか)
C シェリングの自由論の「本論」の解釈―自由論の課題は、自由の体系の基礎づけとしての悪の形而上学である(悪の内的可能性;さまざまな個別化されたものの可能性としての悪の普遍的現実性;現実的な悪の個別化の過程 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
14
1936年に著者がシェリング『人間的自由の本質』 (1809年)の主に序論部を極めて丁寧に解釈した講義録。当該書でシェリングはデカルト的な自然と精神という対立図式を批判し、自然と精神の同一性を示唆するため、人間的自由とは自然からの人間の独立ではなく神からの独立とする。そこではつねに神との関係として人間の自由が扱われるが、その解説に神学徒として学問を始めたハイデガーの経験が生かされている。シェリングに関心がある、自由論に関心がある、またハイデガーを読んでみたいそんな方々に心からオススメできる読みやすい一冊。2019/03/18
りっとう ゆき
5
ハイデガーによるシェリングについての講義、しかも木田先生の訳。難解さはなくて、順序立ててしかも繰り返し説明してくれるのでわかりやすいし、臨場感があって、頭にイメージとして入ってくる。(訳がよいのか)自由と体系、と一見漠然としたテーマからどんな展開になるんだろうと思ったが、ライプニッツ、カント、スピノザなどにも触れつつ、気づけば「生成」っていうとこまで行きついてすごかった。あと、シェリングって東洋的な思想に近いと思ってたけど、キリスト教色濃いんだな、といまさら知った。あと、この本の終わり方にはぐっとくる。2022/12/04
home alone
1
シェリング読んだことないけど、すっごい分かりやすかった。根底と実存の定義がイマイチ分からないけど。(ここ議論で一番重要なとこだと思う)ハイデガーの書いた文はやっぱりずば抜けてる。ヘーゲルの書いた文も良かったけど、一流の哲学者の文は理解できると、凄まじい美しさ(論理と思考)がある。この本は存在と時間の数倍簡単です。読むといいとおもう。。2012/10/23