エーデルヴァイス海賊団―ナチズム下の反抗少年グループ

エーデルヴァイス海賊団―ナチズム下の反抗少年グループ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 285,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784326248292
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C1022

出版社内容情報

ヒトラー政権に対してさまざまな抵抗を試みたグループの一つ。犯罪的傾向の強い少年団の活動の実際を詳しく紹介する初めての研究である。反抗の実情,組織のあり方等に迫る。

ナチス・ドイツ時代の話というのは、どうしても私たちの
心を暗くしてしまうものである。・・・・・・そのころ幅をきか
せたヒトラー・ユーゲント(ナチ少年団)のパトロール隊
を見つけては喧嘩をふっかけたり、「自由のために我らは戦
う」 「エーデルヴァイスは進軍す」 などと歌い、そしてまた
「その日はいつかやってくる」 とナチ支配から解放される日
のことを期待するビラまでをも作っていた若者たち、ナチ
にやられるだけではなく、やり返していた少年少女の一団
がいた。私たち人間には、そういった一面もあったことを
確認して、少し安心することができるのである。
                 〈はじめに〉より

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【目次】

序 章 エーデルヴァイス海賊団とは
  1 目印はエーデルヴァイス
  2 エーデルヴァイス海賊団をとりあげる意義
  3 〈抵抗〉概念の変化
  4 先行研究
  5 ドイツの教科書に描かれた海賊団

第1章 ヒトラー・ユーゲント襲撃
  1 ヒトラー・ユーゲントの創設と成長
  2 「夜に制服で歩くときは、いつもビクビクでした」
  3 ヒトラー・ユーゲントの組織
  4 ヒトラー・ユーゲントのパトロール隊

第2章 スタイルと活動
  1 スタイル
  2 ハイキング・旅行
  3 歌
  4 ビラ・落書き・演説
  5 海賊団の好み・心情

第3章 海賊団員の正体
  1 どのくらいの人数がいたのか
  2 海賊団員の素性
  3 隠れ海賊団員
  4 ヒトラー・ユーゲントの内部矛盾
  5 海賊団活動の動機

第4章 「同盟」 および政治組織との関係
  1 「同盟」 系ユーゲントとの関係
  2 政治組織との関係

第5章 ナチ当局による原因究明と撲滅対策
  1 海賊団現象の原因究明
  2 撲滅対策

第6章 少年強制収容所の設立とその実態
  1 期待される各種収容所
  2 少年労働者のサボタージュ
  3 保安警察所管 「少年保護収容所」 の設立
  4 少年強制収容所の実態

第7章 ケルンの海賊団とエーレンフェルト事件
  1 ケルンのエーデルヴァイス海賊団
  2 エーレンフェルト事件
  3 「ケルン論争」
  4 ゲシュタポ担当の理由

終 章 海賊団の評価をめぐって

内容説明

ヒトラー・ユーゲント(ナチ少年団)のパトロール隊を見つけては喧嘩をふっかけたり、「自由のために我らは戦う」「エーデルヴァイスは進軍す」などと歌い、そしてまた「その日はいつかやってくる」とナチ支配から解放される日のことを期待するビラまでをも作っていた若者たち、ナチにやられるだけではなく、やり返していた少年少女の一団がいた。統制や禁圧をきらい、ヒトラー・ユーゲントに敵対した少年少女グループの活動をあざやかに描く。

目次

序章 エーデルヴァイス海賊団とは
第1章 ヒトラー・ユーゲント襲撃
第2章 スタイルと活動
第3章 海賊団員の正体
第4章 「同盟」および政治組織との関係
第5章 ナチ当局による原因究明と撲滅対策
第6章 少年強制収容所の設立とその実態
第7章 ケルンの海賊団とエーレンフェルト事件
終章 海賊団の評価をめぐって

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

72
ナチズム下のドイツ国内で、押し付けられた「健全なドイツ青少年像」に反発してただエーデルワイスの花を目印に徒党を組んで勝手なハイキングから過激な襲撃まで指導者なしイデオロギーなしで暴れまわった「ドイツ人青少年」のサブカル集団が存在した。本書はポイカートの著書が資料編とすると相互補完すべき解説編とも言える。戦争末期のケルンでの大人の抵抗闘士等との接触や大規模な列車爆破計画・被迫害者保護の記録はあっても彼らの根っこは政治的な英雄ではなく「自由時間の行動くらい好きにさせろ」という当然の反抗心なのがむしろ尊い。2023/09/27

ナミのママ

62
逢坂冬馬さんの新作『歌われなかった海賊へ』を検索していてエーデルヴァイス海賊団の名前を知った。ドイツ、ナチの少年団「ヒトラー・ユーゲント」と敵対した少年少女のグループとのこと。日本の戦時中には考えられないなと思う。反面、その荒々しい行動は現代の半グレにも似ているようで怖さも感じる。時代背景となぜこのような組織ができたのか、彼らは何を不服とし、何を望んだのか。完全には理解できなかったが、この海賊団をテーマにした作品が楽しみになってきた。2023/10/18

アーちゃん

49
エーデルヴァイス海賊団は1938年ごろからナチス政権下のドイツにおいて、自然発生的に出現した少年労働者のグループ。その活動内容は労働へのサボタージュ、犯罪、ヒトラーユーゲントへの妨害や暴力行為も行うが、また反面自分たちをナヴァホと呼び、チェックのシャツに白半ズボンの恰好で好きな歌を歌い、ハイキングやワンダーフォーゲル旅行を楽しむという一面も持つ。指導者というものを持たない未成年者の団体が存在した事に驚きを感じた。著者による日本との対比が面白い。2023/09/18

mizuha

11
ナチズム下のドイツは徹底した統制が成されていた訳ではなく、自然発生的に少年少女の反抗グループが出来上がっていく。数々のグループの中で、エーデルヴァイスを目印にしたグループ(主に14才から18才)が「エーデルヴァイス海賊団」と呼ばれた。ほとんど政治色のない反発だったが、逮捕され処刑された少年たちが少なからず存在する。ドイツ人によるナチズムへの反抗は、あまり知られていない事なのかもしれない。2014/04/02

seychi

4
「犯罪」を書いたシーラッハの祖父はナチス時代にヒトラーユーゲントを作り上げた人物。「犯罪」を読んだ後にこれを読んだのは因果を感じる。ナチスは強大で確固たる組織に思われるが実はそうでも無かったと事が伺える。日本なら容赦無く上から叩き潰すだろうな。それは欧州の方が若者に理解があるというよりも、将来の担い手としての利用価値というシステマチックな考え方に起因してるというのがいかにも。なんにせよ殉じた若者には最大の敬意を表する。2012/11/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/160613
  • ご注意事項