内容説明
音楽を含めた全てのカルチャーが混ざり合い、新たなものを生み出していた60年代。ビートルズとボブ・ディランの出会いに象徴されるように、ロックとフォークも互いへの影響を深め合っていた―。それ以前に水面下で起こっていた地殻変動から、丹念に、そして愛情を込めて丁寧に綴る音楽読み物。随所にアルバム解説も挟み、マニアから初心者までがのめり込める一冊となっている。
目次
イギリスにフォーク・ロック・ブームはなかった?
フォーク・ロック前史としてのスキッフル
ブリティッシュ・ギター・スタイルの源流
レズ・カズンズ―フォーク・クラブの時代
フォークの外へ―ロイ・ハーパーとジョン・マーティン
ドノヴァンのケルティック・ロック
ザ・ビートルズ―ポップとフォークの接点
ペンタングルのフォーク・ジャズ・フュージョン
アメリカからの仕掛人―ジョー・ラスティグとジョー・ボイド
フェアポート・コンヴェンション登場
『リージ&リーフ』―アメリカ型フォーク・ロックとの決別
エレクトリック・フォークの戦士たち
ロンドンのスタジオ・シーン
アシッド・フォークと60年代の終焉
シンガー・ソングライターたちの70年代
著者等紹介
小西勝[コニシマサル]
1960年東京都生まれ。音楽評論家。CDの解説ほか、音楽誌などに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
4
漠然として茫洋たる英国フォーク界を洗い直し、お仕着せ的なジャンル名を切り崩すことで、より複雑で魅力的な本来の織地が浮き上がる。自分の場合つまみ食い程度の聴き方だが、それだけに余計、こういう整理された形で概括できるのはありがたい。米国のミュージシャン達と違って徴兵制やベトナム戦争という差し迫った脅威に晒されていなかった60年代英国のミュージシャン達。彼らが進んだ先は米国的な世情不安に基づく批評性ではなく、神話や精神世界をモチーフとした曲づくりだったのではないかという示唆(pp232~233)は興味深い。2016/04/01
たぬ
2
★4 わりとメジャーどころを紹介。当時のこと、回想録…アメリカやカナダの音楽家も絡んでくる。ディランとかポール・サイモンとかレナード・コーエンとか。総じて楽しく読めたけど、冒頭でマリアンヌ・フェイスフルがアンドリュー・ルーグ・オールダムに出会ったのは66年11月、デビューしたのが64年7月と時系列がおかしくなっていて、そこはあらら…って感じ。2018/01/03
Sano Paradise
1
聞いたことないものが思った以上に多かった。本書を参考にして色々聞いてみたい。2016/09/04
アーク
0
僕のつたない知識でもアメリカン・ロックだったらそのルーツはElvis PresleyやBuddy Holly辺りにあるって分かるけれど、UKロックはThe Beatlesが後者の影響を受けたというのが分かるぐらいで、意外とそのルーツが茫洋としている。本書はそれを時代を追って解説していくので分かりやすい…と思いきや、まだ聴いたことのないミュージシャンが多く載っているのでやっぱり分からないことも多かった。音楽の探究の旅は死ぬまで続きそうだな、と思わされた一冊。2016/04/25