内容説明
バッハ、モーツァルト、ベートーベンから、ショパン、リスト、そしてケンプ、ホロヴィッツ、グールドまでに及ぶクラシックの名ピアニストたちの、ほとんどは今では見ることの出来ない演奏の様子からその技法、そしてパーソナリティまでを、膨大な文献から導き出して生き生きと描写したエピソード集の増補版新訳。ピアノそのものや演奏技術の進歩に関しても、手に取るようによくわかる。著者ハロルド・C.ショーンバーグは音楽評論家として初めてピューリッツァー賞を受賞したジャーナリスト。
目次
揺籃期
油のようになめらかに
3度、6度、オクターヴ
横顔を見せるピアニスト、旅をするピアニスト
ワイヤー切断魔、手は高々と
移行期
アイルランドからボヘミアまで
ロマン主義とそのルール
結核、ロマン派、詩人
雷鳴、稲妻、催眠術、セックスアピール〔ほか〕
著者等紹介
ショーンバーグ,ハロルド・C.[ショーンバーグ,ハロルドC.] [Schonberg,Harold C.]
1950年に『ニューヨークタイムズ』の音楽評論家となり、1960年から1980年まで主筆として活躍、80年からは文化ジャーナリストとなる。1971年にピューリッツァー賞を評論で受賞した。2003年ニューヨークで没する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラー
1
なかなかボリュームのある本だった。楽器の誕生から原著の増補改訂版がでた1987年までのピアノとピアニストの歴史。単なるピアニスト名鑑ではなく、300年の間の美学や趣味の変遷を追っていて面白かった。録音技術が誕生する前の時代の演奏家についても、当時の文献を豊富に用いて評価していてそこが個人的にはいちばん楽しめた。2023/11/24
酒井貞道
0
録音がそもそもない時期のピアニストの話が過半を占める。時代によって演奏の規範や思想、常識が違い過ぎることがはっきりわかるように書かれていて面白い。これを読むと、《クラシック音楽の楽曲に対する解釈と演奏》に関して認識がゆさぶられること請け合いである。作曲者の意図を踏まえた演奏など、そもそも可能なのだろうか? なお、執筆当時に現役だったピアニスト(ホロヴィッツとリヒテルを除く)に関する記述は、あくまで暫定的な判断に基づくものと考えておかねばならないだろう。2015/12/29