感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
296
ディートリッヒ・ボンヘッファーはルター派の牧師で、カール・バルトなどとともに20世紀を代表する神学者。本書はそのディートリッヒの双子の妹が書き残したボンヘッファー家のクリスマス。前半は彼らがまだ子どもであった頃、アドヴェントを迎えた様子が真の喜びをもって語られる。これを読んでいると、物質的に恵まれていることが、かならずしも喜びではないことがしみじみと伝わってくる。後半、とりわけナチスの台頭後は大きく趣きを変える。兄のクラウス、ディートリッヒ、義兄2人が処刑される。獄中からのディートリッヒの手紙は⇒2023/12/17
ロピケ
4
クリスマスの時期でもないのに、フラフラと借りてきた。ボンヘッファー家は、父親が学者のため、ゲッティンゲンやベルリンなどで幼少期を過ごした。家族みんなで祝ったクリスマスの思い出を綴っていくうちに、時代は切迫して、賑やかだったボンヘッファー家もその渦に巻き込まれていく。一家はユダヤ人の家庭ではなかったものの、リベラルな思想傾向から、それぞれの人生を辿ることになった。それでも、心に残るのは、ご馳走とペッパー・クーヘンなどのお菓子やろうそくの点いたツリー、沢山のプレゼント、集まった人々。温かいクリスマスの残像。2013/06/11