内容説明
パレスチナ解放闘争の交差性。差別の複雑な実態を把捉し、それに対する解放実践にインスピレーションを与える交差性の概念は、パレスチナをめぐる抑圧と抵抗の歴史を再照射し、ありうべき連帯の可能性を開示する。日・韓・在日を架橋する運動体が差し出す、交差的な知と実践の道具箱。
目次
パレスチナからのメッセージ(ニダル・アブズルフ)
第1章 パレスチナとの交差を見つけ出すために―交差的フェミニズムと連帯の再検討(金城美幸)
第2章 パレスチナと資本主義による略奪―「占領のロジスティクス」という視座から(北川眞也)
第3章 アメリカ黒人解放闘争とパレスティナとの連帯―テキストとアートで辿る闘争の経絡(阿部小涼)
第4章 パレスチナと性/生の政治(保井啓志)
第5章 パレスチナの歴史的鏡像としての在日朝鮮人―私が私たちになるために(中村一成)
第6章 パレスチナと日本の社会運動―日本赤軍の行動の軌跡に即して(太田昌国)
第7章 ジェンタイル・シオニズムとパレスチナ解放神学(役重善洋)
第8章 パレスチナと共闘するための宗教―分断に抵抗した越境的思想家たち(早尾貴紀)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
辻薫
2
イスラエルの植民地主義と、占領に不可分に利用されるパレスチナ社会での家父長制(保井論考で紹介されているクィア活動家への弾圧も含む)両面に対峙して闘われているパレスチナ人女性たちの運動(「自由な女性なくして自由な祖国なし」)についての金城美幸の論考がとりわけ示唆に富む。また、商品の移動インフラなど流通の領域に関する「ロジスティクス」の視座から、経済的な略奪のみならず軍事的・生政治的にまで及ぶイスラエルの支配形態を分析し、現在闘われている地球規模の越境的な「対抗ロジスティクス」を素描する北川眞也の論考も必読。2023/10/31
uehara
1
2月のいつかに読み終えた(とりあえず2月末で)。強いられる構造からする、あるいは民衆の想像力からの文字通り「交差」する視座からパレスチナを。2024/02/29