内容説明
人は自ら善を選ぶことができるのか。理性の独立を強調する啓蒙主義思潮を厳しく批判しながら、道徳的主体としての自由と尊厳を擁護する―その狭く困難な論証の道のり。
目次
第1部 本題に入る前に、ここではまず、さまざまな関連用語や関連事項について説明する(意志の本性について;意志の決定 ほか)
第2部 アルミニウス主義者は、道徳的主体の自由とは本質的に意志の自由であると主張する。「自由意志」なるものは本当に存在するのであろうか。ここでは、この問題について考察する(アルミニウス主義者は意志に自己決定力があると主張する。この「自由意志」という概念には明らかな矛盾がある;ここまでの論証について予想される言い逃れ ほか)
第3部 アルミニウス主義者の主張によれば、人が道徳的主体として徳や悪を行い賞賛や非難の対象となるには自由意志が必要であるという。第三部では、この問題について検証を進める(神が至高の徳を備えておられるのは必然であるが、神は賞賛に値する;イエス・キリストが地上でなされた「意志の行為」は必然的に聖なるものであるが、真の徳と呼ぶべきものであり賞賛に値する ほか)
第4部 アルミニウス主義者は前述した「自由」や「道徳的主体」などの概念を支持し、カルヴァン主義者と対立する。ここでは、彼らの主な論拠について考察する(徳や悪は、人格や意志の行為の「原因」にあるのではなく、そうした人格や行為そのものにある;アルミニウス主義の自由意志や道徳的主体性などの教理に見られる、能動と主体といった形而上学的概念の誤りや矛盾について ほか)
著者等紹介
森本あんり[モリモトアンリ]
1956年生まれ。国際基督教大学、東京神学大学大学院、プリンストン神学大学卒業(Ph.D.)。現在、国際基督教大学教授
柴田ひさ子[シバタヒサコ]
1964年生まれ。同志社女子大学大学院文学研究科修士課程修了(英文学専攻)。米国バベル翻訳大学院修了(文芸・映像専攻)。元静岡英和学院大学短期大学部非常勤講師。日本基督教団静岡教会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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