内容説明
フランスの美術雑誌『アート・プレス』の編集長であるカトリーヌ・ミエは、あたかもモダンアートの成り立ちを解説するかのように、自らの性体験を訥々と、しかし何一つ包み隠さず語っていく―処女を失ってからほどなくして乱交パーティやスワッピングの常連となり無数の男性と関係を持ったこと。場所や時間、性別に束縛されることなく奔放なセックスを求めたこと。ありとあらゆる体の部位で快感を追求してきたこと。一つ一つが清冽なイメージで表現される大胆な性の告白が読者の感性に鋭く突き刺さる衝撃作。
目次
1 数(常連;空想;集団;告白することの快感;一度しかないこと)
2 空間(パリ周辺;屋外;街と男性;出発点)
3 小さな空間(奥まった場所;病気、不潔なこと;オフィスで;タブー;信頼)
4 細部(体の細部;吸収する能力;忍耐;快感のあらわし方の違い;目に見えるもの)
著者等紹介
ミエ,カトリーヌ[ミエ,カトリーヌ][Millet,Catherine]
フランスの現代美術誌“アート・プレス”の創刊者・編集長。美術に関する多くの著作を出版し、国際的美術展のフランス代表委員を務めるなど、その名は美術界では広く知られている
高橋利絵子[タカハシリエコ]
中央大学仏文学科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイアイ
13
少女時代に修道女になりたかった彼女は二人の兄弟と叔父と性関係を持つ。 一晩で二十人あまりの男性と関係を持ち、アブノーマルかつ同性とも多様なセックスをしてきた自伝。「私に入っていた男性が今度は別の女性とセックスすれば私が脚に入っていくことになる」男性読者はP283から始まるフェラの章のあまりの生々しさに驚きでしょう。最後の方で「まあペニスが性器に入るのより○○の方がいいわ」とか「男に合わせて受け身なの気持ちよくない」とはっきり男前に言っちゃう飾らなさが女性読者に人気なのかも 。▽図書館2016/11/23
くまこ
3
とても静かで、人が生きていくという意味の「性」を浮き彫りにした本。性に関する表面的な描写に惑わされることなく、著者の生きざまを分かち合えればいいと思う。文章は感情に走らず理知的に淡々と綴られていて、そのスタンスが一読の価値があった。しかし、語られる内容はノンフィクションということを割り引いても平凡で、退屈を堪えるのが難しかった。2014/09/07
世玖珠ありす
2
美術系雑誌の創設者であり編集長でもある著者の自伝小説です。しかも、性的な。ところが、その内容のエロさに反して、文面からはエロいどころか、観察日記のように当時の自分を客観的に見つめる怜悧さがある。そのアンバランスさが、過度な性的描写も静謐な文章に変換され、エロを期待した読者は肩透かしをくってしまうかもしれない。どちらにせよ、こんな生活、日本人には無理だなというのが共通の感想だろうか。2011/01/16
よしだ まさし
1
カトリーヌ・ミエ『カトリーヌ・Mの正直な告白』ハヤカワ文庫NFを読了。 フランスの美術雑誌の編集長である著者が、自分の性体験を包み隠さず書いたノンフィクション。 ところが、その性体験というやつが、とてつもなく過激で、全ページに「ペニス」「フェラチオ」「乱交」「アナル」といった言葉が果てしもなく続いていく。著者は、性に対するタブーというものを持たず、数えることすらできないほどの男性と関係をもって(時には一晩で数十人の男性を受け入れたりもして)、ひたすら快楽を追い求める。 その過激な性生活そのもののインパクト2013/09/25