内容説明
内閉したキリスト教会の限界を乗り越えるギャングスタ・ラップの宗教性を論じた衝撃作『ヒップホップ・レザレクション』。その議論を引き継ぎ、ラッパーの人生、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)、フェミニズム、コロナ以後の社会といった視点から、ヒップホップが発揮する救済の力=アナムネーシスをラディカルに描き出す。BLMと共闘する黒人牧師の説教、気鋭のDJ陣が寄稿したディスクガイドなども収録した、かつてないヒップホップ・アンソロジー!BADSAIKUSH、田島ハルコ、J.Columbus、DyyPRIDE、FUNI、MCビル風、豪華カラー写真つきロングインタビュー収録!
目次
Intro ヒップホップの力―想起による救済
1 ヒップホップの福音(サグ・アナムネーシス―ならず者たちが見る新しい世界;間違ってることを正しいと歌わない―日本の“コンシャス・ラップ”の現在;“Nearer My God to Thee”―「人種戦争」とワッツの預言者たち ほか)
Interlude(“神の国”はビートとともに路上に現臨する―ブラック・ライヴズ・マターとヒップホップの宗教性;ファーガソンの前線より;金田満子のドープなリリック)
2 ラッパーたちの霊性(16小節の解放区 BADSAIKUSH;かけがえのないリアルを失わず変身する 田島ハルコ;場所を作り、場所に根ざすこと―“NORTH TOKYO”という救済 J.Columbus ほか)
Disc Guide 救済のサウンドトラック
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
endormeuse
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”俺はこの闘いに勝たなきゃいけない。勝って、「勘ぐるな、案ずるな。状況は最悪だけど、俺だって生きてるんだから、お前はだいじょうぶだ」っていう俺からの福音〈グッド・ニュース〉を伝えたい。そうして、お互いいつ死んでもおかしくないような厳しい状況を生き抜いてきた仲間から「こっちもなんとか生きてるよ」って応答があったとき、それは俺自身にとっての命の糧、福音として届いてくるんだ”2021/03/10
金北山の麓に生まれ育って
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【レザレクションの続編ではありません】山下壮起氏の文章で始まったがすぐ終わり、ラップに関する短文が海外から国内へと流れていく、期待とは違っていた。後半で日本人達、在日の方も含め、矛盾を抱えてそれを表現する手段なりスタイルをアメリカのヒップホップアーティストに仮託している方達が出てくるけど如何せん歌詞がショボい、山下氏が選んで教えてくれたアメリカの黒人達のとんでもなく重い社会背景と重さ故に結果として生まれる宗教的な悲鳴と比べたらそりゃショボい当たり前、日本は相対的には平和で良かったとつまらん感想が残った。2022/10/08
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「「情報戦争」時代における文化」がメチャクチャ面白く、切れ味が抜群。敵の土俵に乗らないことのラディカルさ。ベケット『いざ最悪の方へ』の引用で締め括られるのも最高。2021/04/29