内容説明
マルコ版のイエスとルカ版のイエスでは、隣人愛に対する姿勢がかなり違う。いったいどちらがイエスの「隣人愛」理解なのだろうか。二つはまったく別の出来事を描いている、すなわち、イエスは律法学者と何度か、この主題をめぐって対話したことがあったのだろうか。そうだとしたら、イエスは時と場合によって、まったく違う対応をしていたことになる。
目次
序 聖書学の「船旅」へ
第1章 隣人愛とイエス
第2章 旧約聖書における隣人愛
第3章 初期ユダヤ教とラビ・ユダヤ教における隣人愛
第4章 隣人愛とパウロ―「愛敵」影響史の始まり
第5章 ユダヤ人キリスト教的な流れ―マタイ福音書とヤコブ書簡
第6章 ヨハネ文書と隣人愛
第7章 二世紀への展開
終章 「キリスト教」の象徴としての隣人愛
著者等紹介
辻学[ツジマナブ]
1964年、神戸市生まれ。1989年、関西学院大学大学院神学研究科博士課程前期課程修了。1989‐91年、日本基督教団甲子園二葉教会伝道師。1991‐95年、スイス・ベルン大学神学部に留学、神学博士号(Dr.theol.)取得。1997‐2007年、関西学院大学商学部宗教主事。現在:広島大学大学院総合科学研究科社会文明研究講座教授(宗教学担当)。専攻:新約聖書学(とくに第二パウロ書簡、公同書簡)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新橋九段
4
聖書学は聖書に書いてあることから書いていないことを推測していく学問。隣人愛理解の変遷はおもしろかった。2015/07/12
沖縄電鉄社長
0
「(良き)サマリア人の例え」を語ったイエスの意図が「隣人を愛すること」ではなく、「隣人」を設定すること自体を批判することにある、というテーゼにはじまり、隣人愛の起源を旧約聖書にさかのぼり、福音書の著者・パウロ・使徒教父といった人々がイエスの言葉に「反して」隣人愛を唱え、実践し(ようとしながらも逆の実践にも走っ)ていく実態を暴き、最後にキング牧師の説教から「サマリア人の例え」に帰る。 ・・・イエスは結局、何を・誰を「愛する」よう言ったのだろうか?2022/07/13
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