内容説明
独自の自然主義に染まった元医師・土岐周一郎と不倫相手の北郷咲良は、家族も仕事も擲って、沖縄の遙か南に位置する無人の“フリムン島”にやって来た。新たな人生の幕開けに高揚する二人はしかし、そこに先住者が潜むことを知らなかった。恋人を殺し逃亡の果て、島に辿り着いた苅部公則。警察沙汰を恐れる公則は、理想に囚われた無知な二人が来て早々いがみ合いを始めるのを見て、仕方なく助けの手を差し伸べた。正体を偽る公則と二人の奇妙な共棲はうまく運ぶかに見えた…。だが、土岐に感化された親子、島ごとVIP向け宿泊施設にする野望の女社長らが、相次いで上陸。やがて島は、人間のエゴと憎しみがぶつかり合う“愚か者の島”と化していく―。
著者等紹介
乾緑郎[イヌイロクロウ]
1971年東京都生まれ。鍼灸師の傍ら、小劇場を中心に舞台俳優、演出家、劇作家として活動。その後、2010年8月、『忍び外伝』で第二回朝日時代小説大賞を受賞、同年10月『完全なる首長竜の日』で第9回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
165
なんだ~これは··って感じ。昨日、今日と私の時間を返してぇが正直なところ(汗)ただただタイトル通りで、どいつもこいつもまったく···妥当な結末かなぁ。で次行きます❗️2021/01/31
rosetta
33
★★★★☆ドロドロと醜い人間達がかなり自分の趣味にはハマった。住民が気が触れて殺し合ったと言う伝説を持つフリムン島。江ノ島程の大きさの無人島だと言うがその割には広そうに思えるのは木々が鬱蒼と茂っているせいか。何故かこの島に無人島生活に憧れる連中が集まってくる。逃げてきた殺人者、意識高い系似非ビーガンの不倫カップル、子供の引きこもりに悩む家族、グランピング場を作ろうとする似非セレブ。特に不倫の女とセレブの女が最低にクソ、次いでセレブの部下の奴隷男。もう誰が死んでも寧ろこっちはスッキリするってくらい(笑)2021/03/23
キムチ猫屋
24
こんなヤツら、おるんかい!って、ツッコミどころ満載!でも、この愚かさ具合!シャレにならない展開がなかなか怖かった。サイトウさん、なんか気になるキャラでした。諒くん、いろんな犠牲はあったけど成長できたよね。ロビン、良かったよぉ~2023/01/27
百太
24
絶対面白い切り口なのに。なぜか物足りなさが残る・・・。ギュギュっと話題性満載なのに。。。。2022/06/04
nukowan
24
沖縄と思われる南国のさらに無人島で起こったことを告白する「手記」から始まる物語。このあとに起こることを告白で示しておいてから内容があり、読者は今後の展開をある程度予測できるように作られている。/無人島にやってくる幾人かの男女。不倫カップル、逃亡犯など、性格の悪さや人格の酷さなどがわかりやすい。逃亡犯で思い出すのは数年前に整形までした青年。参考書籍に彼の著作が掲載されていてやはりと思ったり。シンプルなストーリーなのに読ませるのはこれは作者の腕なのか。「完全なる首長竜の日」もいつか読んでみようかなぁ。2021/04/18