内容説明
「私は、自律行動ロボット三原則に逆らう行動はできません」人口が5000万人まで減少した2060年代、ロボットの存在は珍しいものではなくなっていた。ある日、警視庁の刑事・相崎按人は“ありえない”現場を目撃する。政府主導で開発された家事用人間型ロボットが主人を殺害し、風呂場でその死体を洗っていたのだ。“ジャンヌ”と名付けられたそのロボットにも、人間に危害を加えることを禁じる「自律行動ロボット三原則」が組み込まれ、絶対に人を殺せないはずだった。バグが疑われたが、科捜研での検査では異常なし。急遽、製造元のJE社への護送を命じられた相崎は、道中、謎の武装集団の襲撃に遭う。その絶体絶命のピンチから相崎を救ったのは、なんとジャンヌだった…。大興奮のハイブリッド・エンターテインメント!
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。2012年に第32回横溝正史ミステリ大賞を『デッドマン』で受賞しデビュー。その圧倒的なリーダビリティとキャラクター性でファンを増やしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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nobby
175
ドキドキしながら楽しめる近未来SFミステリを満喫♪「ロボットは人間に危害を加えてはならない」などの三原則に制御されたはずの“ジャンヌ”が、どうして所有主を殺すことが出来たのか!?程よい科学要素で21世紀後半の日本を描きながら、人間 VS AIへと結びつける展開も分かりやすい。それでいて最後に導き出す理由が概念的であるのが憎い…甚大災害にも備えたハイスペック家事用ロボットの容貌は不気味さを感じさせるほど人間の姿を真似ている。それが故にコミカルな会話で盛り上げて、なるほど数々の伏線として機能させる様には脱帽!2019/03/09
あも
103
過不足なく全てが盛り込まれた一本の映画を観たような満足感。人口が半減した近未来の日本。労働力確保のため国策で導入された家事ロボットが人を殺した。ロボット=ジャンヌ本人は、【人間に危害を与えられない】行動原則に反していない、と言う。ならばなぜ殺せた?担当刑事も謎の襲撃に遭い、ジャンヌと行動を共にする事に。構築された世界観は難解さなくして説得力があり、サバイバルのワクワク感もたまらない。ジャンヌが人を殺せた理由が副題と結びついた時は興奮した。更にラスト1文が抜群に効果的で思わぬボーナスを貰った気分。文句なし。2019/06/05
ダイ@2019.11.2~一時休止
101
近未来ロボットもの。ロボット3原則に反し、なぜロボットが殺人を犯したのかって話。プロローグでバレバレじゃんと思いきや自分の予想とは違った・・・。でも途中で強奪しようとしなくてもJEで引き取ればよかったのでは?という疑問も・・・。まあエピローグがイイ感じで終われたからイイとするか。2019/03/13
さっこ
73
面白かった!人口5千万人まで減少した2060年の日本。家事ロボットには「自律行動三原則」がインプットされていて人間に危害を加えることが出来ないにも関わらず家の主人を殺害した。「なぜ殺したのか」ではなく「なぜ殺せたのか」刑事が追う真相。人とは、ロボットとは、国家の思惑など絡めながらノンストップで進む展開に一気読みでした。ロボットであるジャンヌが三原則の下に辿り着いた原理、後半は切なくて、ホッとして、そして最後の一行に怖さを覚えました。きっと遠そうで近い未来なのかも。2020/01/27
buchipanda3
71
ロボットは人間に危害を加えてはならない、ロボット三原則の第一条。これに従うなら人型ロボット"ジャンヌ"は犯してはならない罪、殺人をなぜ行えたのか。近未来を舞台に不可能殺人を描いたSFエンタメ。サクサク読めるが込められた意味合いは深め、読み応えがあった。追跡者の狙いは分かり易い。しかし本質的に語りたいのはあの言葉の神髄を見出すことだろう。一種のシンギュラリティ論も含む。力強いロジカルと人間の在り方を交錯させ導いた理論に圧っせられた。最後は小癪な終わり方で一息つける。アシモフ、ブラッドベリなどの遊び心も健在。2019/02/19
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- 和書
- 毒よりもなお