出版社内容情報
あさのあつこ[アサノアツコ]
内容説明
止まぬ雨はない。明けぬ夜もない。少年は、ただ明日をめざす。父は切腹、所払いとなった天羽藩上士の子・伊吹藤士郎は、一面に藺草田が広がる僻村の大地を踏み締める―過酷な運命を背負った武士の子は、何を知り、いかなる生を選ぶのか?
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学卒業後、小学校講師を経て、1991年に『ほたる館物語』で作家デビュー。その後、『バッテリー』及びその続編で、第35回野間児童文芸賞、第39回日本児童文学者協会賞、第54回小学館児童出版文化賞を受賞。2011年には『たまゆら』で、第18回島清恋愛文学賞を受賞した。児童文学からヤングアダルト、一般小説、ミステリー、SF、時代小説など、幅広いジャンルの第一線で活躍し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
128
疑い始めたらきりがない・・だれも彼も怪しく思える。次第に疑心暗鬼になるのがオチだ。己の心さえ信じるに足るのか?誰を信じるのかー亡き父上にさえ今は以前とは違う想いがある。切腹を申し付けられた父に介錯をと託された息子・藤士郎。あの感触が残る手には藩の未来が・・母と姉・美鶴との暮らしも。その隠されていた姉の双子の弟・柘植と江戸を目指すんだ。仇を討つとは、逃げ切ること・藩が生まれ変わる様をみること。友さえ葬ったのだ。行くのだ。真っ直ぐにしか生きられ無いのなら、行くしかないのだ。あさのさんの熱が伝わって来る。2016/11/08
とし
104
天を灼く。2巻を先読みし、天を灼くを読んでやっと繋がった、藤士郎真っ直ぐ爽やかで良いですね、無二の親友を失った事の衝撃はつらかったでしょうね。2018/11/20
あすなろ
101
もう戻れない。疑念とも確実とも無縁でいられた日々の笑いに。父を介錯した少年は、背負うものが重く、更にその重さは増していくが、歩くのである。僕は単純に応援する。そうなんだよ、歩くしかないんだよ、重みがたとえ増しても。それに気がついていながら気が付かぬフリをして歩くのだ。見てくれている人は必ず見てくれているし、温かい家族が君にはある。個人的にも過去の想いを重ねて頁を捲り続けた作品。良かったです。2016/12/11
ゆみねこ
75
父は切腹を申しつけられ、所払いで城下を追われた伊吹藤士郎。父は何をしたのか、藩政の秘密は?何も知らず真っ直ぐな気性の藤士郎の行く末が気になって一気に読了。過酷な運命を切り開くことを願いたい、柘植とともに。2016/11/04
むつぞー
60
あれ?あさのさんだったよね?ハムリン(葉室麟)じゃなかったよね?と、途中で何度か思った作品です。 父親の死は?藩政のことは?というあたりの部分はちょっと弱いのですが、藤士郎・慶吾・五馬との友情の部分がとっても気持ちよく、こういうところはやはりあさのさんという感じですね。 その穏やかさがあるからこその、物語の展開が印象的になるのだと思います。 藤士郎、どうかあなたはそのまま真っすぐ生きてくださいと…思いました。2016/11/09