内容説明
花鳥茶屋「せせらぎ」は上野不忍池に面したおよそ六百坪の敷地に、珍しい鳥を集めた禽舎や植物を配した行楽の苑であった。いかがわしさとは縁遠く、女子供にもたいそう受けがよい。子供のころ、手習いの師匠が語ってくれたさまざまな鳥の話に、足が痺れるのも忘れて幼馴染みたちと聞き入った勝次は、ここ「せせらぎ」で鳥かご職人の修業中だった。弟子入りして五年、仲間も皆、巣立ちの時を迎えようとしていた…。
著者等紹介
志川節子[シガワセツコ]
1971年、島根県生まれ。早稲田大学卒。2003年に「七転び」で第83回オール讀物新人賞を受賞。2009年に初単行本『手のひら、ひらひら江戸吉原七色彩』を上梓する。つづく13年、『春はそこまで風待ち小路の人々』が第148回直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei302
62
手習所で机を並べた5人の仲間たちが失敗を繰り返しなが精神的に成長していく物語。 長屋の子、お店の子、職人の子、立場を超えての交流が描かれているのですが、 アドバーザーというか、彼らのよき(でもないかな)理解として、あの『曲亭の家』馬琴先生登場にびっくりです。 ちょっと取っつきにくいけど、口を出さずにいられない、いい味出してます。 お路はまだ嫁いでいませんが。5人のそれぞれが、鳥に例えられたタイトルが素敵です。鶴の話が心に沁みた。2021/04/19
も
62
珍しい鳥を集めた苑にある花鳥茶屋「せせらぎ」。勝次、ひなた、耕太、清一郎、おゆり。手習い所の同門5人が自分と向き合いながら成長していく青春物語。馬琴先生とのやりとりなんかは面白いのだけど、中心となるものがイマイチ見えなくてちょっと残念。しかし「孔雀きらめく」で孔雀の羽を虫眼鏡で見るところの描写はお見事。光の粒が本当に見えるようでした。2016/05/05
ドナルド@灯れ松明の火
35
鳥を見せる茶屋と鳥かご職人、それらに携わる若い男女5名の青春群像。鳥茶屋という存在を初めて知ったが、今の鳥専門動物園のようなものか。彼ら5名のそれぞれの成長ぶりが描かれ、心温まるエンディングであった。2016/01/15
はるき
24
時代劇としての様式美はたっぷりだし雰囲気もいい。ただ、皆がいい人なので物語が単調と言えなくもないかな。2016/07/08
深青
24
花鳥茶屋「せせらぎ」を舞台にした連作短編集。5人の幼馴染みが励まし合い、時にぶつかり合い成長していく物語。それぞれが壁にぶつかり、葛藤を抱え、幼馴染みの姿に焦り惑い、また歩みだす。皆、若い竹のようだと感じました。ぐんぐん上へ上へと、成長していく力強さを感じました。そりゃあ、大丈夫か?と感じる時もありましたが…転けてもそれはそれで良い経験だし、喝をいれてくれる大人も励ましてくれる友もいる。安心して見守れるお話だったと思います。よいお話でした。2015/09/27
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