内容説明
京都を舞台にした小説で熱狂的なファンを持つ藤原花奈女が死んだ。施錠された仕事場の遺骸は、華やかな朱の小袖に覆われていた…。「ここは鬼の都やのン。都にこだわり続けるあさましい鬼がいてるのン」花奈女は、創作に啓発を与え、厳格な考証を加える「ミヤコ」という人物に怯えていた。次回作の構想を酷評され、絶望の末に死を選択したのだ。作品の矛盾を生んだ「京都の秘密」とは何か?花奈女の死後もなお、呪詛を託した手紙を送り続ける「ミヤコ」の正体と意図は?花奈女を慕い真相を追う女子大生吉田優希の眼前で、怪事件が連続、さらに襲撃の魔手が…。悠久の時と文化を背景に、幻想と謎解きを綺羅の如く織りなす、本格推理の超新星誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
8
怖い話だった。京都に生まれ育った作家だから書けた話なんだろうけど。小説を書く人が作家性より京女としてのキャラ重視するなんて。これが同人誌作家の特殊性なのかな。作品のみの評価ではなく、作家のキャラもじゅうしされるという。世界的に京都は古都としての有り様は特殊なのかな。首都の座を明け渡した都市なんて珍しくないものね。コミケではなく、同人誌即売会という言葉を使っているのが不思議だったが、ラストの章で納得。2015/02/27
kmagami
4
SFの人だと思っていたけれど、本格推理小説ですね。結構、シリーズかも狙えるキャラクター立てだと思っていたら、どうやら一作のみなのかな。ちょっと、もったいない気もします。探偵役と「おかあさん」の裏もありそうなので、続きがあったら読みたいところ。京都は、やっぱり魔都なのかな。今となっては現実の東京が既にSFだけれど。2006/06/22
CHIE
1
京都の人たちとそういう京都を見る人たち。こういうこともあるかも知れないと思わされるようなお話。雰囲気がとても京都って感じ。京都はこういう感じって京都以外の人が思っている京都かな。2015/07/22
空飛び猫
1
憧れが憎しみと同じくらい強く、人を傷つける。 言葉と歴史の持つ、重圧。2012/05/09
朱音
1
同人作家の死をめぐる謎、といえばきわめて今日的な話のような気がするのだが同人と言っても漫画やアニパロ系でなく歴史モノの作家である。そして舞台は京都。…おどろおどろしくはなく、論理的に謎が解かれていくのは読んでいて快感でもある。登場してくるおいしそうな料理屋さん、というところは香菜理屋シリーズにもちょっと似ているか?京都の土地勘がある人には楽しみ方が増すと思う。2004/07/27