出版社内容情報
〈「ひどいめに,たくさんあってきたか?」幻聴が起きたのかと思った。マリーは腹這いの山崎(やまざき)を凝視した。山崎の背には刺青がない。指も欠けていない。肌は血の気を喪ったように白い。マリーはそっと耳を澄ました。「ひどいめに,たくさんあってきたか?」幻聴ではなかった。マリーは山崎から視線をそらした。首を左右に振った。「……べつに」呟いて微笑した。軽い口調で付け加えた。「どォってこと,ないよ」微笑が歪んだ。その瞳に涙が湧きあがった。きつく眼を閉じた。喉がふるえた。山崎の背に爪をたてた。〉(本文より)冷酷無比の極道(やくざ)山崎が子持ちのフィリピン女性マリーを妻にした時,恐るべき運命がその幕を開けた……。今もっとも期待される異才が放つ愛と暴力の衝撃作! (祥伝社販売課大内オススメの一冊)唯のバイオレンスではない、人生のペーソスを感じさせる秀作。
内容説明
冷酷無比の極道山崎が子持ちのフィリピン女性マリーを妻にした時、恐るべき運命がその幕を開けた…。今もっとも期待される異才が放つ愛と暴力の衝撃作。
目次
笑う山崎
山崎の憂鬱
山崎の帰郷
炙られる山崎
走る山崎
山崎の情け
山崎の依存
嘯く山崎