内容説明
日本の精霊たち、狐やタヌキ、その他の妖怪たちは、田舎の道ばたや神社の影に隠れて、道に迷った旅人をいたずらしてやろうと待ちかまえている。新潟の日本海の近くに住むことになったセシルとオリヴィエは、そんな妖怪たちをフィルムに焼きつけるという、ちょっと変わった中古カメラを買う。2人は妖怪たちの姿を写真に撮ろうと追いかけるうちに、この世とあの世を行き来するもうひとつの日本の姿を描いていく。
目次
1 内野の狐
小島さんの話
2 魔森の森
3 ただよう世界
4 山の陰
5 2つの顔を持つ街
6 あやしい水平線
7 地蔵の袖
著者等紹介
ブラン,セシル[ブラン,セシル] [Brun,C´ecile]
1988年、フランス・リヨン生まれ。ボルドー大学と新潟大学で、日本語と日本文化を学ぶ
ピシャール,オリヴィエ[ピシャール,オリヴィエ] [Pichard,Olivier]
1982年、フランス・ボルドー生まれ。ボルドー大学で美術を学ぶ
駒形千夏[コマガタチナツ]
新潟県生まれ。新潟大学人文社会・教育科学系助教。大学でフランス語を教えている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nuit@積読消化中
99
アトリエ・セントー(アトリエ銭湯)というフランス人おばけずき2人組の制作ユニットによって描かれた日本の怪しい伝承アートコミックということだけでもそそられる。フランス人から見た日本の祭りや妖怪、霊場ってどんなんだろうと読みました。(p75の)2つの時代が重ねあわせられているような、過去を通して現在を見ているような景色なんかもいい。彼らが新潟大学に留学をしていた時の想い出と青森の霊場恐山を訪れたお話がなんだかシンミリと心に沁みてきます。新潟の喫茶店「マルグッタ51」は大変居心地が良さそう。いつか訪れてみたい。2018/03/05
あたびー
44
ワッピー様より拝領した御本。日本(新潟など)が舞台ですが、バンド・デシネです。新潟を旅行するフランス人の2人組が手に入れたのは「バケモンが撮れる」カメラ。2人は早速お化けを撮ろうとあちこちへ。主人公たちはかなりデフォルメされて平面的な顔立ちなのだが、日本人の方はリアルに東洋人の顔で描かれているのが面白い。フランスから来た人が妖怪文化に憧れているというのは嬉しい。この2人、水木御大に会いたかっただろうな。ただ、その石像はお不動様だよ、鬼じゃない😅2024/02/01
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
41
【フランス人から見た日本の妖怪紀行】にひかれて借りてきました。古物商で買ったカメラは妖怪が移るというもので、新潟から青森を旅して妖怪を探すというコミック。怖いというよりも不思議体験を描いたような感じでした。一番印象に残ったのは恐山。外国人にとったら恐山はホラースポットぐらいのイメージなのかもしれないが、恐山を訪れる日本人にとっては心をいやす場所なんだなと感じました。2018/05/04
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
39
再読。読んだ事を忘れていて手に取った。フランス人のセシルとオリヴィエは、新潟で妖怪が写るという8枚撮りのフィルムカメラを手に入れる。妖怪が出ると言われるスポットを巡る話。最初に読んだ時よりインパクトがなかった。2022/05/15
ワッピー
34
フランス人オタクカップルの妖怪遍歴を描いたバンドデシネで、出版されてから気にはしていたものの、ようやく縁がつながりました。冒頭のエピソードで古道具屋で手に入れた妖怪カメラを手に、現地で話を聞き、あちこち連れ回されつつも信濃川北岸の内野から東の各スポット、弥彦山から、恐山(やや重い回)まで足を伸ばしたマイペースの紀行に和みます。雨の中でも敢然と出かけていくものの、どこか抜けている2人のやりとりが妙に可笑しく、また案内する日本人もときどき妙なことを言っていて、それもまた興趣を深めています。この雰囲気、大好き!2023/12/31