内容説明
朴槿恵前大統領の罷免という混乱のあと韓国民が選んだのは、果たしてどのような人物か。慰安婦問題に関する日韓合意をめぐって、冷え切った日韓関係はどこへ向かうのか。毎日新聞前ソウル支局長の著者が、豊富な取材経験と韓国の現代史から新大統領について解説する。
目次
1 新大統領文在寅(文在寅とは何者か;朴槿恵が弾劾された理由;なぜ、韓国大統領は不幸な末路をたどるのか)
2 韓国の外交戦略はどう変わるか(もはや「北」は脅威ではない;「反日」の実態とは;「脱日」した韓国;慰安婦問題のゆくえ;米中の間で苦悩する韓国)
3 韓国社会を理解するためのキーワード(なぜ、韓国の裁判所は理解不能な判決を出すのか;新大統領を苦しめる社会分断;財閥へのあこがれと敵意;韓国の見せる現実主義の顔)
著者等紹介
澤田克己[サワダカツミ]
毎日新聞論説委員・前ソウル支局長。1967年埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。在学中、延世大学校(ソウル)で韓国語を学ぶ。1991年毎日新聞社入社。政治部などを経てソウル特派員を計8年半、ジュネーブ特派員を4年。2013年からソウル支局長を務め、2015年より現職。2011~12年に神戸大学大学院客員教授、2016年から慶應義塾大学非常勤講師を兼任。著書に『韓国「反日」の真相』(文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mazda
25
自分たちのことは全て棚に上げて、相手が悪いとあおり続けることで、日本との関係を戦後最悪になるまで導いた文氏。彼は、朝鮮戦争のときに北朝鮮から逃げてきた家族の一員であり、エリートコースをたどってきたクネさんが嫌だったんだろうな、と思います。彼の出自を理解すると、盗人猛々しいと北朝鮮から散々言われながらも、片想いし続ける理由がわかります。隣国の指導者は、例外なく悲惨な末路を歩んでいますが、どうやら一旦悪政をリセットしたいという国民性があるようです。彼の最後は、どんなドラマが待っているのでしょうか。2019/08/12
BLACK無糖好き
12
冒頭に朴槿恵罷免から文在寅大統領誕生までの一連の経緯をまとめ、後は韓国のジェネラル・インフォメーション的な構成。小国ゆえに道徳性や『正しさ』を重視し、それを持って自分たちの正統性を主張するしかなかった事情が国民意識に浸透している。超競争社会で自殺率は日本の1.5倍。韓国の一般庶民が権力者や財閥へ示す、時にエキセントリックな敵意の裏に、自分たちの抱える生きづらさのようなものが根底にあるのかもしれない。韓国が主体的に半島情勢の安定化を図れるかは疑問だが、韓国民から見た喫緊の課題は国内問題であろう。2017/07/21
謙信公
9
まもなく5年の任期を終える文在寅大統領。それまでにと思い読んだのだが、書名と内容が一致しない。本人の出自や政策はごく一部に触れたのみで、朴槿恵弾劾や日韓関係、韓国の社会状況、道徳的「正しさ」(この「正しさ」は私の理解を遥かに超えるが)を追求することを正義とする民族性の解説に多くの紙面を割いている。露骨な司法介入、条約などの国際取り決めもちゃぶ台返し、朝鮮半島の統一しか頭にない大統領では、戦後最悪の日韓関係となるのは必然であっただろう。歴代大統領の不幸な末路もみても、任期後に辿る彼の末路が気になるところだ。2022/01/22
がんぞ
7
大統領当選して笑顔だが悲劇必至。人権弁護士として事実を曲げてまでも依頼者の権利を拡張し警官を焼殺した学生に10年の刑も重過ぎると恩赦させたが、非合法なクーデター的手段で大統領になるや露骨に司法に介入し、日本との国際協約のボーダーを蹂躙せんとする。ときに国民感情に沿わない判断をすることこそ指導者の務めだが、いまや日本の8~9割となった対韓強硬論を宥めるのは日本の政治家の役割とばかりに無言、傍観的発言に終始。/焦眉の急でやるべき事は軍事強化で、経済格差からして北を叩き潰せる軍事力を備えてこそ平和的統一できよう2019/02/04
Kentaro
4
ダイジェスト版からの感想 これまで日本とほとんど接点を持たないまま韓国大統領となった文在寅氏の実像に迫る。どんな生い立ちでどのように政治の道に入ったのか、盧武鉉氏との関係、本当に「反日」なのかなど、日韓関係のこれまでの経緯と今後についても触れている。 まだ情報が少なく政策や政治信条がはかりかねるうちから「反日である」と決めつけたり、日韓両国から「嫌韓」「反日」を掲げステレオタイプの極論を唱えるのは時期尚早のようだ。政変などで国際情勢が動いた時こそ、冷静に、フラットな立場から情報を集め、思考するべきだろう。2018/03/10
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