内容説明
四十の賀を盛大に祝う源氏。朱雀院の皇女三の宮が正室として降嫁し、紫上の苦悩が始まる。悲劇への幕が開いた―。
目次
若菜 上
若菜 下
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞。『源氏物語』に関する著作、講演も多数。エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能評論等も多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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colocolokenta
23
若菜。ついにここまで読み進めてきた。平安セレブリティ物語もクライマックス。この物語、源氏による女性の定点観測のように読んでいたが、左大将、衛門の督の描写は若かりし頃の源氏と頭中将のうつし絵、男性心理の描写が細かくされている。紫式部が女性の心理を上手く描写するのはよくわかるが、男性の心理もこれほど細かく描いたとは。明石の入道、朱雀院の物語もしみじみとする。 朧月夜との関係は、今も昔も変わらない不倫話。ずるずるといつまでも引きずられ、最後は女性の決心でしか終止符がうたれないということも同じ。2015/09/25
shimashimaon
8
世間という言葉(現代語訳)が頻繁に出てくることに興味を覚えます。過ちをおかして苦悩する場合など。当時の庶民にもあったのか貴族社会特有なのかはわかりませんが、確実に江戸時代の武士階級にもあり、現代日本社会にもある「世間という思想」は、苦悩の中味は違えど連綿とこの国に伝わるようです。柏木の苦悩と源氏の苦悩は質が違う(結局源氏は格上)ように描かれます。桐壺帝は本当に知らなかったのだろうか?そして今頃?と思ってしまいます。御衣の色や楽器で女性(の序列)を表現するのも面白い。次巻ではいよいよ紫の上が…?2022/11/18
ナツメ
5
第三十四帖『若菜』です。先代の帝の皇女・女三宮の降嫁や源氏の娘である明石女御の出産など華々しい前半に比べ、後半は紫の上が病に伏し、女三宮と頭中将の息子である柏木が密通して不義の子が出来る(しかも源氏にバレる)など影が差してきた物語後半。盛者必衰…とまではいかずとも、昔の自分がしでかしたことが、今になって自らに還ってくるとはまさに因果応報。あれだけ複雑だった兄弟姉妹・従兄妹関係がすっかり頭に入っている当り、やっぱり源氏物語は面白い…和歌の素養がないばかりに、物語の半分程度しか楽しめていない感はありますが笑。2017/10/01
mnagami
4
人間らしさと物語がいい感じで進行する。現代の話しに近いものも感じた2023/05/13
あいくん
4
☆☆☆☆第六巻は、若菜上、若菜下が収められています。若菜は分量は多いです。源氏の39歳から47歳が描かれます。源氏は紫の上としみじみ語ります。過去につきあいのあった女性の思い出を語ります。特に思い出深いのは六条御息所です。六条御息所は嗜み深くしとやかで上品でしたが、気むずかしくてつき合うのに気苦労も多かったと言います。恨みが深くなっていったのに閉口したと言います。片時も心を許すことができず、いつも緊張しているしかありませんでした。2014/02/25