出版社内容情報
心を惑わすのは、呪いか、欲望か。
かつて腕を競った友の息子の無念を思い
剣一郎は辻斬りの正体を暴こうとするが――。
大ロングセラーシリーズ最新刊!
どの巻から読んでも楽しめる
腕の立つ武士ばかりを狙う辻斬りが江戸の夜を震撼させていた。亡骸の状況から、得物は妖刀と恐れられる雲切丸だと青柳剣一郎は考える。その刀はある旗本から盗まれた物で、密かに探索を命じられていたのだ。妖刀に魅入られた者の正体とは?やがて見廻りの目をすり抜け、かつての道場仲間の息子が辻斬りの刃にかかる。剣一郎は悲しみとともに、現場に違和感を覚え──。
内容説明
腕の立つ武士ばかりを狙う辻斬りが江戸の夜を震撼させていた。亡骸の状況から、得物は妖刀と恐れられる雲切丸だと青柳剣一郎は考える。その刀はある旗本から盗まれた物で、密かに探索を命じられていたのだ。妖刀に魅入られた者の正体とは?やがて見廻りの目をすり抜け、かつての道場仲間の息子が辻斬りの刃にかかる。剣一郎は悲しみとともに、現場に違和感を覚え―。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
121
やっぱり長谷川様が嫌いだ。今回は妖刀・雲切丸に弄ばれた人間の悲哀。とは言っても刀に罪はなく、人の心の持ちようと言うか闇だ。いつの世もおかしな奴はいる訳で・・薬種問屋の甚右衛門はイカれてる。また、妖刀を隠れ蓑に養子の息子を自ら葬った安本。かつて同じ道場に通った兄弟弟子・安本の、剣一郎に対する屈折した思いが露呈して、なんだかなぁの後味の悪さよ。2024/03/17
やま
49
血塗られた妖刀雲切丸が闇を斬る。旗本の的場家が所蔵している「雲切丸」は、その見事な反りの刃を見ていると、人を斬りたいという誘惑に駆らる刀であった。このため的場家では、雲切丸を「妖刀」と呼び、蔵に仕舞っていたが三ヵ月前に盗難にあった。その二ヵ月後から八人が辻斬りにあっている。青柳剣一郎は、辻斬りが雲切丸の魔力に吸い寄せられて、人を斬っているのではと考えて探索を始める。青柳剣一郎の剣友、安本善兵衛が、辻斬りに斬られた息子・善一郎の仇を討ったが・・・・・・。2024/09/12
真理そら
46
江戸の町に凄腕の辻斬りが登場した。旗本家から盗まれた妖刀探索を命じる今回の長谷川様もゲンナリするほどいやな奴、ま、いやらしくない長谷川様だと物足りないかもしれないが…。真下門下の剣一郎の兄弟弟子が登場。長谷川様は剣之助はお気に入りなので二人の交流場面も見たい気がする。2024/02/07
Abercrombie
3
人が心の中に抱える闇をテーマに、辻斬りの横行と妖刀の盗難、それに旧友の鬱屈を絡めた手堅いストーリー。私情が交じると流石の青痣与力も逡巡が勝るのか、スッキリしない幕切れ。2024/02/14
goodchoice
2
このシリーズの特徴は罪を憎んで人を憎まず、というポリシーがしっかりしているところだ。今回も剣一郎の裁きは徹底していた。2024/02/26