出版社内容情報
二人の小説家と一人の秘書。
三人の女性たちの、心理サスペンス。
才能と容姿が生む嫉妬と猜疑心。
そして、わたしは「わたし」を見失う。
小説家の織部妙は、美人と評判の新人作家橋本さなぎの処女作に嫉妬と興味を感じていた。才能、美貌、あるいは不思議なペンネームのせいか。だが、妙はある文学賞のパーティーで対面したさなぎに、違和感を覚える。面前のさなぎが小説の彼女とはあまりにも違うのだ。むしろ、彼女の秘書初芝祐に妙は魅かれ、近づいていく。やがて、違和感がある疑惑へと変わっていき……。
内容説明
小説家の織部妙は、美人と評判の新人作家橋本さなぎの処女作に嫉妬と興味を感じていた。才能、美貌、あるいは不思議なペンネームのせいか。だが、妙はある文学賞のパーティーで対面したさなぎに、違和感を覚える。面前のさなぎが小説の彼女とはあまりにも違うのだ。むしろ、彼女の秘書初芝祐に妙は魅かれ、近づいていく。やがて、違和感がある疑惑へと変わっていき…。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年、大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒。93年、『凍える島』で第四回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年に『サクリファイス』で第十回大藪春彦賞を受賞。19年『スーツケースの半分は』(小社刊)で第十三回エキナカ書店大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
39
小説家・織部妙は、美人で評判の新人小説家・橋本さなぎの処女作に目を通し、思わず惹き込まれる。だがパーティーで彼女と会った時、ふと違和感を感じる。<作品と作者の雰囲気がちがう。>そして彼女の秘書・初芝祐にレズビアンである妙は魅かれていく。モデルのようなさなぎと、肉感的な祐。<祐はさなぎのゴーストライターだ。>妙の直感は疑惑となって二人から目が離せない。恋心、嫉妬、感情の渦巻きが上手く、眩暈がする。悲しいかな、女性はルッキズムから逃れることはできない。からまりあう心理のサスペンス、三者三様の未来に安堵する。2024/02/01
カブ
39
好きな近藤史恵氏の作品なので手に取る。美人小説家の織部妙と新人作家橋本なぎさ、その秘書初芝祐。三角関係のような不思議な3人がどうなるのか気になって面白かった。2023/11/28
mayu
32
『やさしいいきもの』という作品を描いた美人新人作家。実際著者に会った彼女は作品と作家との共通性が見つけられず違和感を感じて、その時に会った秘書に興味と好意を持って近づいていく。結末の読めない展開は面白く、読みやすくて一気読みだったけれど、ルッキズムや編集のSNSのくだりもメッセージ性があるのだろうけど、なんだか入ってこず。爽やかな読後感だけど、あんなに嫌だったはずなのにどうやって最後の結論に至ったのか気になったなぁ。先の気になるミステリーだけど、読み終わってみると恋愛小説だったのかなと思った一冊。2023/10/18
JKD
28
歪な共依存関係をもつ女性同士の恋愛三角関係。こういうのガールズラブって言うんですかね。繊細で複雑な気持ちが静かに交錯するなんとも言えない雰囲気が妖しさを醸し出していく。それにしても女性の心理は奥が深い。男は単純って言われるのも理解できるような気がします。2023/11/24
空のかなた
27
「カナリアは眠れない」が著者の作品を読んだ最初の本。人の心の機微をここまで鮮やかに、かつ密やかに描写できることに感銘を受けた。この作品はルッキズム、ビアンである自分とシスの相手のズレ、才能をもつものvs相手に媚びることでしか生きていけないものの微妙な共依存関係。主人公は自分とは正反対とも言える媚びることしか知らない女性性で生きてきた咲子に、反発を感じながらもまんまと罠にかかってしまう。最後まで真意が分からずミステリーのようにも感じた。「繭」「さなぎ」という比喩が素晴らしい。2024/07/12