出版社内容情報
5対4で有罪――
この判決は、ほんとうに正しかったのか?
死刑か冤罪か。
母娘殺害事件を巡り、6人の裁判員と3人の裁判官は究極の選択を迫られる!
法廷ミステリーの傑作、初の文庫化!
被告人は三十間近の冴えない男だった。出会い系サイトで知り合った女とその母を殺したのだ。離婚協議中の会社経営者・堀川恭平は裁判員制度により選ばれ、彼の審理に参加することに。最高刑が死刑まである事件だ。ところが公判初日、男は一転無罪を主張。法律の素人である6人の裁判員の議論は紛糾、新たな仮説まで浮上する。やがて堀川らの人生は事件の真相に蝕まれ……。『裁判員――もうひとつの評議』改題作品
内容説明
被告人は三十間近の冴えない男だった。出会い系サイトで知り合った女とその母を殺したのだ。離婚協議中の会社経営者・堀川恭平は裁判員制度により選ばれ、彼の審理に参加することに。最高刑が死刑まである事件だ。ところが公判初日、男は一転無罪を主張。法律の素人である六人の裁判員の議論は紛糾、新たな仮説まで浮上する。やがて堀川らの人生は事件の真相に蝕ばれ…。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説の旗手として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
66
これはツライ。もしも自分もその場にいて、判決に一票を投じなければならない立場だったとしたら…人ひとり、命ひとつを正義を盾に生かすも殺すも自由にできてしまう恐ろしさを思い知る。6人の裁判員が陥った裁判員制度の最悪を描いた法廷ミステリ。有罪、その判決は正しかったのか?無罪、被告人は嘘をついていないのか?真相、人が人を裁くという責任の責任は誰が持つのか?人生を変える一つの評決が、新たな疑惑を生み暗い影を落とす。自分にもいつか来るかもしれない事態、他人事だとは思えず怖くなる。多数決の連帯責任の罪に警鐘を鳴らす。2023/04/23
まるぷー
22
母娘殺害で逮捕、起訴された男の裁判員裁判。被告は死刑判決を受けるが、無実を訴え拘置所で自殺未遂。6人の裁判員のうちの堀川は評議で無実を主張する。裁判において検察官の論告、弁護人の最終弁論は納得できない不備なところがあり、正義の名におけるグレーの色が濃いものであった。法律に素人の市民の目を法廷に向ける裁判員裁判、他のメンバーで裁けば違った判決になったかもしれない、被告人にとっては運、不運となる。疑わしきは罰っせずの原則だが、こうして冤罪は生まれるかと恐ろしくなった。裁判員の心のケアと守秘義務が印象に残る。2023/06/21
hiyu
5
裁判員制度の問題点についてはこれまでも言われているが、その一端を垣間見た気がする。一方で本書で示されたいくつかの矛盾。中には決して見過ごせないそれもあれば、あえてそれを飲み込むものもあった。ラストへ至る展開もちょっと唐突かな。2024/02/14
ハートランド
4
もしこの様な裁判員裁判で、自分が選ばれたとしたらと思ったら、怖くなる。2024/02/03
さとみな
3
警察がポンコツだと困りますなぁ。読みづらいってほどじゃないけど会話文多い。2023/09/07