内容説明
凄腕の殺し屋を擁す闇の口入屋“鳶”―かつて二ツ森伝次郎たちにも凶刃を向けた因縁の敵だった。永尋掛り同心の娘一ノ瀬真夏は、鳶一味の蓑吉なる男を偶然目にする。塒を突き止めた真夏は、伝次郎らと神田佐久間町の仕舞屋を張る。だが、その動きは察知されていた!監視を逆手にとる狡猾な一味の殺しの標的は…(「鳶」)。錆びつかぬ爺たちが弾ける傑作捕物帳。
著者等紹介
長谷川卓[ハセガワタク]
1949年、小田原市生まれ。80年、群像新人文学賞を受賞。81年「百舌が啼いてから」が芥川賞候補に。2000年『血路―南稜七ツ家秘録』で角川春樹小説賞を受賞。2020年11月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
55
南町奉行所の永尋(ながたずね)掛り同心、二ッ森伝次郎の活躍の物語です。時は、文化四年(1807)。「鳶」は、永尋掛り同心、花島太郎兵衛の暗殺に失敗して、ほとぼりが冷めるまでと、思って西へ逃げていた鳶が、頃合いもよしと思って京都から江戸へ戻って再度、花島太郎兵衛を暗殺しょうとして二ッ森伝次郎らに捕縛される物語です。「犬の暮らし」は、本当に書き出しで終わっています。え・・・と、思ったら著者がお亡くなりになったことが書かれていました。こんなふうに書き出しで終わるのは、もしかして初めてかもしれない。2024/06/22
baba
38
著者逝去のための遺作となった最終章。伝次郎はじめ戻り船の仲間たちの今後や若い隼人や正次郎のこれからを読み続けたかった。最後に奥様がご本人が伝次郎に似ていて楽しんで書いていたと記していた。有難うございました。2021/09/19
ひさか
24
2021年4月祥伝社文庫刊。書下ろし。シリーズ3作目にして最終巻。鳶、犬の暮らし(未完)、の2編の連作短編。殺し屋一味を追いかける伝次郎達の連携プレーが、面白い。流れるような展開で、このテンポは、他では体験できないほどの名人芸だと思う。長谷川さんの奥様の「あとがきにかえて」が興味深かったです。2021/06/29
コニタン
7
この本を購入するまで、長谷川卓さんが昨年11月4日にお亡くなりなっている事を知りませんでした。ご冥福をお祈り申し上げます。主人公の二ツ森伝次郎の言葉に遺言というか、長谷川卓さんの思いを感じることが出来ました。あぁ長谷川卓さんの作品を読むことが出来ないことが残念です。合掌2021/04/17
M2
4
ずっと待っていた新・戻り船同心の新作でしたが、まさかこんな悲しいお知らせを目にするとは。長谷川卓氏のご冥福をお祈り申し上げます。「あとがきにかえて」を先に読ませていただいたので、永尋ね掛りの面々のやり取りがいつも以上に心に沁みたのですが、いつのまにか物語の中に引き込まれ気がつくと頬が緩んでいました。前の作品も読み返して改めて長谷川卓ワールドにどっぷり浸ろうと思います。長谷川卓様、数々の素晴らしい作品を本当にありがとうございました。2021/04/23
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