内容説明
酒で悩んでいる人に手を貸したい。幹之助がそう言い出したとき、親はもちろん奉公人まで目を丸くした。酒屋の主人になるのなら、酒の功罪を知っておきたい。並木町の七福は酒を売りつけるだけではない、のちの事まで気を配ると世間で思ってくれれば、客がさらに増えるはずだ―それから二年、さまざまな、中にはとんでもない相談も幹之助のもとに持ち込まれた…。
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
2008年、「素見(ひやかし)」で小説宝石新人賞を受賞。若き町医者を描く長編『刀圭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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坂城 弥生
35
お酒に関する悩みの短編集。2022/03/07
のびすけ
27
酒屋の若旦那・幹之助が酒で悩みを抱える人たちの相談に乗る連作短編。どのお話も味わいがあって面白かった。中でも、好きな人と一緒になるためにお酒をやめようとするおきみのお話「狐とかぐや姫」、又七と留吉の切ない友情のお酒のお話「極楽の味」が良かったかな。2021/08/09
ドナルド@灯れ松明の火
18
中島さんなかなか良かった。酒屋の若旦那が酒で困った人達の相談相手になる。昔も今も酒で失敗する人たちが多くて困ったもんだ。若旦那も成長していきいい結果になって良かった。 お薦め2021/04/17
イシカミハサミ
14
酒にまつわる悲喜こもごもを 酒屋の若旦那が身を挺して受け止めていく短編集。 伝わらなくとも こうとしかまとめようがない。 構成としては、 やっぱり誰にでもありそうなお酒にまつわるエピソードが重なっていくのだけれど、 ラストは若旦那に焦点が当たっていくので、 もうちょっとそちらに肩入れできるというか、 そちらの心情に入っていけるような前段になっていると もっとよかったのにな、というのは思った。2023/04/13
デジ姫
14
三杯目の極楽の味。8歳で口減らし11歳で奉公先に送り込まれた留吉。「おら江戸さ来てえがった。おくまばあさんは意地悪だけど、米の飯が食えるし、又七ちゃんには会えたもの」「俺は自分が酒を飲むより、又七ちゃんがうまそうに酒を飲んでいるのを眺めているのが好きだな~」そう言った幼馴染の留吉が奉公先の息子を火事から助けて死ぬ。切なかった・・ほかにも5話ともいい話ばっかり。2021/02/20