内容説明
元奥州白河藩士の倅・真木倩一郎は、朝顔を育てる優男の風貌とは裏腹に江戸随一の剣客。ある日幼馴染みの天野善次郎が新藩主・松平定信の命で来訪、倩一郎に前藩主のご落胤の噂があるという。定信からは帰参を乞われる中、船宿“たき川”の女将で、江戸の目明かしの総元締・米造の娘、お葉を助けたことで運命が一変。倩一郎は幕府も揺るがす暗闘に巻き込まれていく…。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第六回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
107
船宿たき川捕り物暦1作目 2019.11発行。字の大きさは…小。 浪人・真木倩一郎は、元白河藩々士の父・真木倩右衛門と10年前に白河藩を出た。 江戸では小野派一刀流佐伯道場で目録を賜り、師範代を務めている。 旧藩よりの急な呼び出しで白河藩下屋敷で松平定信より、隠居した松平定邦の隠し子ではと言われるが、否定するが。 定信は、倩一郎の顔は、定邦にどことなく似ていると言う。倩一郎は、定邦の隠し子なのか? 樋口有介さんの本を読むのは始めてです。2020/02/01
kagetrasama-aoi(葵・橘)
38
「船宿たき川捕り物暦」第一巻。『変わり朝顔』ちくま文庫版を読んで登録してありますが、改めてこちらで読んだので。樋口有介氏の初めての時代小説、江戸の夏が感じられるとても素敵な物語です。主人公の真木倩一郎がもうもう格好いいんです。時代は田沼意次が権勢をふるっていた頃、そうなんです、大河の「べらぼう」の時代を感じたくて読み返しました。2025/04/26
kei302
34
文字が大きくて読みやすいはずが...樋口節の流れに乗りにくかった。状況描写が丁寧すぎ(しつこい/ときには省こう) 15年前の作品を手直し。佐伯某氏・田宮時代への幻想・車姓への批判・目明かしのルーツなど、時代小説が無節操に出版された当時をシニカルに批判的に眺めている樋口氏が見え隠れする。さくさく読めるタイプが好み。続編はその点を考慮してほしいなぁ。2019/11/27
ごへいもち
17
現役作家だと思っていたら本好きの知人から亡くなっていたと教えられてちょっと驚いて読んでみた。合掌。スーパーマン主人公2024/01/29
ぶんぶん
16
【図書館】初めての作家さんでした。 面白い、現代小説の作家さんが「処女時代小説」と言う事で、いろいろ気になる点を気を付けて書いているのが判る。 他の小説もカッキリ書く性格なのだろうと思う。 ラストで武士を捨て「目明し」の二代目になるが、剣技を観られないのが残念。 この作家さん時代劇に一言ある様で、各シーンの細やかな描写が見事。 すんなりと江戸の風が吹くようです。 二作目も有る様なので、続いて読む事にします。 しかし、2004年の作とは、知らなかった。 改稿とありますが手直しは相当したのでしょうか。2021/06/08