内容説明
昭和二〇年春、噺家の信吉は、生活苦から、家族のために盗みの計画を立てる。病により学徒出陣を免れた学生の伊吹は、講和による終戦を希う新聞記者の兄の異変に気付く。三月十日、銃後を懸命に生きるふたりは、運命の日を迎える!B29の大編隊が下町を襲い、無差別爆撃は十万人もの犠牲者を生んだ―東京大空襲。ふたりは愛する者を案じ、焼け野原を彷徨うが…。ロングセラー『父からの手紙』の著者が贈る―戦争ミステリーの傑作!
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説の分野で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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OHモリ
7
・小杉さんは「残り火」に続いて2作目。上巻は第二次世界大戦直前から終戦まで庶民の目線で書かれていた。 ・3月9日東京大空襲のシーンが圧巻でとってもリアル!といっても自分もみたことがないんだが、実際に経験しているような臨場感とリアルさを感じた。登場人物の心理描写などもとてもよく分かって共感できるし、ストーリー自体も無理がなくて自然に受け入れられた。 ・ページをめくる手が止まらず上巻は一気読みだった。とは言え、「田尾はなぜ、誰に殺されたのか?」「伊吹の兄はなぜ自死したのか?」の謎を残して下巻に続く2020/06/13
やすべえ
6
戦前から終戦までの人々の暮らしぶりや思想を噺家と学生の目線で描かれてます。二人共抱えてる思いがありやがて大事な存在を見つけますがそこに地獄の東京大空襲が。謎を残し下巻へ。2020/10/30
mim
6
戦時中の悲惨さが伝わってくる。 信吉と伊吹もこれからどうなって行くのか…2019/06/14
ハートランド
3
下巻にて2021/04/15
チェス
2
興味深く、一気に!2024/05/19