出版社内容情報
中田永一[]
著・文・その他
内容説明
ある理由から存在感を消せるようになった高校生、鈴木伊織。彼女を認識できるのは、友人の春日部さやかだけ。けれど、さやかと話すうちに、伊織はバスケ部で人気の上条先輩のことが気になりだした。ついにはその“体質”を活かし、彼の後をつけ始め…(表題作)普通じゃない超能力者たちの恋。それは切なくて、おかしくて、温かい。名手が紡ぐ、優しさ溢れる六つの恋物語。
著者等紹介
中田永一[ナカタエイイチ]
2008年、『百瀬、こっちを向いて。』(祥伝社文庫)で単行本デビュー。12年には『くちびるに歌を』で第六十一回小学館児童出版文化賞を受賞し、多くの作品が映画化される。『私は存在が空気』は雑誌『ダ・ヴィンチ』(16年三月号)で「絶対はずさない!プラチナ本」に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
117
★★★☆☆20003 6本のびっくり系モチーフ話。どれも発想が面白い!①瞬間移動。のび太くんが(ドラえもんの)しずかちゃんちのお風呂に移動するシーンのイメージですが、本作品はそんな夢ある話〜②透明人間。物理的に透明化すると考えがちですが、周囲の人から何故か気づかれない?という透明人間は本当にいるかも。③ちょっとジーンときた!④スモールライト。ドラえもんか!⑤ 念力放火能力。宮部みゆき先生もびっくり!意外とシリアス。⑥念動力。といってもワンピースのルフィの伸び〜る腕が透明になった感じ。面白かったですよ。2020/01/05
ゼロ
105
小さな超能力者たちの、切なくて、愛おしい恋。6つの短編が収録されていますが、どれも思春期の恋愛と超能力を題材にした、爽やかな物語となっています。「少年ジャンバー」「私は存在が空気」「恋する交差点」「スモールライト・アドベンチャー」「ファイアスターター湯川さん」「サイキック人生」。どれも読みやすく、心の機微を描いています。好きなのは、「少年ジャンバー」かな。引きこもりがあることをキッカケに、少女と出会い、尽力を尽くす。結ばれはしなかったけど、1つの思い出を作り上げる。青春してるなって感じが良かったです。2019/12/19
おかむー
96
中田永一お得意の「教室の端っこで控え目にしているボクたち」、そこに不思議な能力をひとつ加えた物語を描く短編集。『よくできました』。不思議な能力を持っているからといって、主人公たちが調子に乗らずに控え目な自分を弁えているところが実に中田作品らしい。六篇のうち表題作よりも『少年ジャンパー』の切なさと主人公の成長が好感触。わずか6pのp掌編ながら『恋する交差点』はセンスのいい映像作家さんによるショートフィルムが見てみたい。『ファイアスターター湯川さん』をしっかり肉付けすれば長編でもいけそうですな。2019/01/20
katsubek
86
超常現象は題材であって、もちろん、テーマではない。同様にそれを題材に使う宮部みゆきとは、また趣を異にする。宮部のpsychicは求道者的であるが、中田のそれは「緩さ」を持っている。にもかかわらず、「知っている者の悲しさや苦しさ」を描くところは通底するものがある。ともあれ、ホラー的要素がありながらも、ユーモラスとも言うべき余裕があり、滋味掬すべき良作である。2022/07/03
ひさか
78
少年ジャンパー、私は存在が空気、恋する交差点、スモールライト・アドベンチャー、ファイアスターター湯川さん、サイキック人生、の超能力者をテーマにした6つの短編を2015年12月祥伝社から刊行。2018年12月祥伝社文庫化。中田永一が、乙一さんの変名だとは知らなかったです。少年ジャンパーのジャンプシーンは圧巻。ファイアスターター湯川さんのクライマックスは、サスペンスたっぷりです。いずれも、良くできたお話で、心に残ります。2020/11/10