内容説明
読売書きのお吉は、大関高砂への聞き取りの帰り道、小舟の中で血を流し倒れている子どもを見つける。頭に怪我を負った男児は記憶を喪っていた。お吉は知り合いの同心から頼まれ、一緒に暮らすことに。男児が口にし涙を流した落雁を手がかりに親を捜すが、見つけたのは巷を賑わす贋金だった―。無類の菓子好きお吉がとんでもない事件に巻き込まれる人情帖の第二弾。
著者等紹介
五十嵐佳子[イガラシケイコ]
山形県生まれ。「婦人公論」「クロワッサン」などの女性誌を中心にライターとして活動。その後小説にも活躍の場を広げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
44
シリーズ物なのに順番めちゃくちゃに読んでいました。お吉さんの歩く所に事件有りという感じで気の毒になってきます。これがお絹さんなら大喜びでしょうが、お吉さんでは周囲も気が気じゃないでしょう。一時は甘味屋さんの売り子さんに戻ろうかと迷いましたが、勝太君との約束を守る為にも読売書きの仕事は辞められなくなりました。少しずつでもたくましくなっていくのでしょう。楽しみです。2019/12/24
ジュール リブレ
42
落雁の、素朴?な、上品な味わいの裏にある木型を作る彫り師の事件が底辺を流れ、大川の流れに乗った新たな人生の出会いが彩りを深めていくお話。連作短編ながら江戸情緒、特に銘菓のお話を絡めて、1つのテーマも追いかけて、と、なかなかの味わいでした。シリーズ3冊目も、行きたいと思います。2019/06/26
kagetrasama-aoi(葵・橘)
35
「わすれ落雁」読売屋お吉甘味とぉんと帖 第二巻。甘味専門の読売の書き手として仕事をなんとか始めたお吉。両親を亡くし、女手一つで菓子屋に奉公したお給金で、弟妹を育て上げた頑張り屋。そしてちょっと猪突猛進型なんですよね。持ち前の好奇心旺盛の性格が事件と出会わせます。読売の書き手としての成長とか、同僚の絵師山本真二郎との関係とか(ひょっとして恋愛関係に?)、読みどころ一杯のシリーズ二作目。面白かったです。三作目、楽しみに読みます。2023/11/18
のびすけ
27
シリーズ第2弾。人気力士の高砂や葛飾北斎らに取材を試み、聞き出した好物のお菓子の読売書きに奮闘するお吉。高砂への取材時のトラブルと、頭に怪我をした少年を助けたことが絡んで、お吉は大きな事件に巻き込まれる。今回の物語の半分が事件の捕物帳だったのがちょっと残念…。とはいえ、お吉が取材をして読売を仕上げる過程が楽しく、聞き出したお菓子の数々が相変わらず美味しそう!北斎が好物だという大福茶漬け。試したいけど、勇気がない。次作も期待!2022/08/03
メルル
25
「読売屋お吉甘味帖」シリーズ第二弾。高砂関の取材を妨害されたり、事件に巻き込まれた子どもを預かったり、危険なことに次々と巻き込まれる。偽作に関しては、かなりカチンとくる。周囲の反応といい、お吉は何も悪くないのにちょっと酷い。お吉もそんなに落込まないでよ。こんな時は真二郎に慰めて欲しい。二人とも良い雰囲気。お菓子も買いに走りたくなるような美味しそうな描写。とても面白い。2018/07/23