内容説明
「あたし、あの人がこんなにも好きなんだ」太物問屋『あたご屋』の一人娘・お八重はごろつきから助けてくれた“川獺”と名乗る男に想いを寄せている。もう一度逢いたい一心で江戸をさまようお八重は、裏長屋で川獺といた女の死体を発見してしまう。殺していないと言う川獺を信じるお八重は…。恋を知った少女が大人になっていく姿を描いた感動の時代小説。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学を卒業後、小学校の臨時教員を経て作家デビュー。「バッテリー」シリーズで野間文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を受賞。『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学から、ミステリー、SF、時代小説など幅広いジャンルで活躍している。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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森の三時
42
一目惚れの恋にミステリーが絡み少女を大人へと変えていく。世間知らずで少々危なっかしいお嬢さんでしたけど強い意思を感じました。一度だけ会っただけでその人の何がわかるのかと思われるかもしれませんが、男子校1年生のとき文化祭で一度だけ会った他校の名前も知らない女の子に一目惚れをした経験があり、本能的に惹かれてしまうことがあることを知っています。その人に会う前の自分にはもう戻れないのでした。会いたいという強い気持ちに突き動かされてしまうのですね。あさの先生は悪い結末にはしないと思って犯人を予想しながら読みました。2022/11/26
はるき
41
文庫化につき。 切ない表情が素敵。でも、あさのあつこ節なのでヒロインに生きる力強さがあります。面白かった。2017/07/17
ゆずぽん
20
太物問屋の跡取り娘が恋した川獺とは・・・八重が巻き込まれていく事件、恋心のもどかしさなどが吸引力となって一気読み。ラストはやっぱりそうしちゃうかぁと思いましたが、恋は盲目そのままに自分勝手で幼かったお嬢様が商家を切り盛りするくらい成長していたのはとても良かった。 2017/08/07
けえこ
15
時代物ミステリー?捕物帳でいいのかも。 うますぎる話には用心しないといけない。2023/08/27
Mayu
15
あさのさんの本はとても読みやすい。江戸時代の恋物語は背景だったり切なさを伴うので個人的に好きで、バッテリーしか読んだ事のなかったあさのさんが、どんな時代物を書くのか興味があり、図書館で見つけて読みました。登場人物の人柄の良さが気持ち良くて、好きな感じでした。好きになった人が犯人かもしれない、でも信じたいという気持ちから、事件を解決していくお話でした。2018/08/12