内容説明
敗戦そして米軍占領という昭和史の空白期間。そこで何が起きていたのか?帝銀事件、下山事件、松川事件、台湾義勇軍事件…。闇に葬られたはずの謀略事件の構図が、昭和五十一年、ロッキード事件をきっかけに初めて露見した。特務機関員、中野学校出身者、キャノン機関やCIA諜報員などの証言を生々しく伝える本書を、平成の現在あえて復刊。
目次
ロッキード事件、誰も知らない新事実
闇の世界に大手をふって歩く男の正体
黒幕その影の男たち
“児玉機関”誰も書けなかった部分
日本の夜を支配した男キャノン
情報を提供していた日本人たち
“黒幕”への第一歩
帝銀事件、平沢シロの初めての確証
下山事件、実証する殺害現場
松川事件、真犯人二十一年目の告白〔ほか〕
著者等紹介
畠山清行[ハタケヤマセイコウ]
1905年、北海道生まれ。青年時代にアナーキスト運動に参加するなどしたのちに、文筆の世界に入る。主に実録作品の分野を中心に健筆を揮った。1991年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AICHAN
35
図書館本。松本清張の『日本の黒い霧』で下山事件に興味を持った。松本はGHQの犯行説を唱えた。近年出版された『下山事件最後の証言』は産官民による謀略説で実行部隊は矢板機関という内容。本書は昭和40年代の刊行だが矢板機関にすでに触れている。そしてキャノン機関の下部組織が謀殺したという説を唱えている。また本書はロッキード事件も扱っている。同事件が米国で露見したのはCIAの謀略であり、CIAの狙いは児玉誉士夫でも日本の政治家でもなく、実は韓国の当時の朴大統領だったという話にはのけぞった。実に興味深い本だった。2017/04/05
金吾
29
信じるか否かは別として根拠はわからないものがありますが、読み物として面白かったです。ただ、私としては同じような題材を扱っている松本清張さんの『日本の黒い霧』の方が好みでした。2022/12/28
z1000r
7
最近この類をよく読む。作者は戦前生まれのようだ。自分も含め平和ぼけした日本人には読む価値ありと思う。いろんな作者の視点で戦後の不可解、闇の事件、部分を覗くのは興味深い。2020/12/15
Ikuto Nagura
5
最近の下山総裁他殺説本に登場する矢板玄や亜細亜産業やライカビルが、昭和40年代に著された本書で既に言及されていた。柴田哲孝が自らの親族の証言から組立てた推理かと思っていたら、はるか昔から謀略説の推論の中心に据えられてたわけだ。本書ではその他の事件についても、キャノン機関とその下部機関に集った旧日本軍将校、大陸浪人、共産党員、朝鮮独立運動や中国国民党関係者など出身の諜報員らが、占領下の日本で暗躍する様を、色んな証言から書き記す。中島辰次郎の松川事件実行犯としての具体的な証言は、なぜ黙殺されたのか。闇は深い。2015/09/20
マリリン
4
「秘録・陸軍中野学校」を読んでから、興味を持った分野の本。戦後の名前を聞いた事がある事件の事を詳しく知る事が出来たような気がする。2016/06/11