内容説明
「昔とはすっかり縁が切れたようじゃな」証源寺の住職忍専は、勘助を見つめて言った。住人がかかしのようなボロを着ているところから「かかし長屋」。忍専が後見人となっているその長屋の住人・勘助は昔、夜風の伝造と名乗る大盗賊だったが、清々しい長屋の人々に囲まれ、扇職人として更生したのだった。だがそんな矢先、昔の盗賊仲間・手妻の半助が現われた―。
感想・レビュー
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あられ
1
面白かった。一つ起こった出来事が次を生んで、中心人物を替えながら話が進んでいく…この時代の長屋生活も垣間見れ、人と人が助け合って生きていくというのはこういう状況なんだろうか…個人主義が強くなった今の日本というが、この時代もどうしてどうして人それぞれ気ままに生きているように感じた。山本周五郎、池波正太郎、司馬遼太郎…数知れず時代小説、歴史小説を書く人がいるが、負けない魅力のある一冊だった。映像化はされていないのだろうか?2018/02/02
snowflake
0
親を見捨てて自分だけ栄えるようなことを許す世間ではないのだ。2019/09/18