内容説明
六四五年六月一二日、中大兄皇子と中臣鎌子(鎌足)は計画どおり宮殿で蘇我入鹿を討ち、専横な蘇我氏を滅ぼした。このクーデター「乙巳の変」を機に推し進められた一連の社会改革を、教科書では「大化改新」と呼ぶ。だが、それは本当に倭国の社会改革だったのか。『日本書紀』の記述も不自然だ。舒明天皇の皇子である中大兄は、蘇我氏滅亡の功績がありながら、なぜすぐに即位できなかったのか。一方、即位した孝徳天皇は父親の名が『書紀』に記されず、出自不詳の人物なのだ。蘇我氏滅亡の“実行犯”は中大兄や鎌足だった。しかし、その背後には倭国の体制自体を大きく動かそうとする二人の“黒幕”がいた。その正体とは?
目次
序章 二つの疑問
第1章 「大化改新」の真相
第2章 蘇我一族の内紛
第3章 山背王朝の滅亡と「乙巳の変」
第4章 唐国はなぜ高句麗征伐を決断したか
第5章 黒幕たちの運命
著者等紹介
小林惠子[コバヤシヤスコ]
1936年生まれ。岡山大学法文学部東洋史専攻卒業。『古事記』『日本書紀』を偏重する日本史学会と一線を画し、日本古代史をつねに国際的視野から見つめ、従来の定説を覆しつづける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
15
話についていけず早々に脱落しかけるも頑張って最後まで読み切る。 日本書紀の記述に疑問を抱き、高句麗や百済の王族と日本の天皇が同一人物だったなど独自の史観を展開するのは結構だが、その割に所々で書記の記述を引用しているのはどういうわけか。渡辺大門氏が言う都合のいい資料の使い方ではないのか。特に根拠も記さずに私見では○○と●●は同一人物なので~という記述も目立つが、終盤でその私見に更に反論をかぶせる所は笑うところなのか。何気ない花鳥風月の描写まで人物の行動に比定する想像力には脱帽するしかない。2019/10/13
withyuko
7
この本一番の衝撃は”聖徳太子は突厥可汗の達頭(タルドウ)”ということでした。あとは、百済の義慈王がとか、日本人だと思ってた人が外国人?!だったりして、わけわかんなくなりました。まずは、小林先生のほかの本を読んでみないと、大化の改新の黒幕は誰か、理解できないかも?2021/01/26
寝落ち6段
7
著者は、為政者の都合によって歴史書は書き換えられるので、「中国の史料と『書紀』(日本書紀のこと)の記述が一致したとき、または、半島の史料と『書紀』の記述が関連している場合、そして中国と半島それぞれの史料で倭国に関する内容が一致している場合」を史実として捉えているそうだ。漢字が一字だけ一致するから誰と誰が同一人物で、日本海を挟んだ物理的に距離のあるあっちとこっちで同時期に王だったとか、無茶苦茶で、荒唐無稽の妄想話。「私見では」「私は~と思っている」という表現が多い。こんなトンデモ本は初めてで、新鮮だ。2019/12/17
tsubomi
5
2022.12.05-2023.01.07:ここに書かれていることがどこまで本当かはわかりませんが、確かに『古事記』や『日本書紀』に記載されていることのすべてが史実ではないだろうとは予想される(特に前者は半分ファンタジー)ので、想像力の翼を広げるとそういう考えもありかな、と。中国や朝鮮の歴史書を同時に読み比べる意義というのは「東北学」でも教わった手法で興味深いです。本書は古代のヤマト朝廷に関わる人たちのほとんどが渡来人という内容。立腹する人もいるでしょうが、えみしの末裔としては、さもありなんと思えました。2023/01/07
黒蜜
2
牽強付会。とりあえず出版社の人は筆者が正しいと思っている系図と年表を付けてくれ。あと従来説の系図と年表ね。著作がたくさんあるようなので、これまでの筆者の研究成果を踏まえないと「私見」が多すぎてよくわかんねぇ。しかし、身重の側室を他国の君主に与えたり、斉明天皇に夫が3人いたり、ほんとに「信じるか信じないかはあなた次第です」の世界だわ。ところで、あとがきで三笠宮殿下との関りが出版の後押しとなっていると明かしてしまうところにちょっと姑息さを感じる。2020/04/26
-
- 和書
- どん底からの成功法則