内容説明
蘇我氏は、五三六年に稲目の大臣就任後、馬子を経て六四五年の乙巳の変で蝦夷・入鹿が滅ぼされるまでの約一〇〇年間、ヤマト王権内で権力を振るい、栄華をきわめた。この巨大豪族・蘇我氏に「馬」というキーワードで迫ったのが、本書である。蘇我氏台頭と継体天皇即位との関連、蘇我氏と馬飼集団の関係、蘇我氏系有力王族・聖徳太子の非実在説など多角的に検証していく。蘇我氏とは何だったのか?蘇我氏および古代氏族の終焉は何を意味するのか?律令国家以前の古代社会の実態を明らかにする。
目次
第1章 蘇我氏の発祥
第2章 蘇我氏の台頭と発展
第3章 馬飼集団の謎
第4章 車田と渦巻紋様の謎
第5章 「聖徳太子非実在説」を検証する
終章 その後の蘇我氏
著者等紹介
平林章仁[ヒラバヤシアキヒト]
元・龍谷大学教授、博士(文学)。1948年、奈良県生まれ。1971年、龍谷大学文学部史学科卒業。龍谷大学仏教文化研究所客員研究員を経て、同大学文学部歴史学科教授。2017年、定年退職。専門は日本古代史、特に神話・古代宗教・氏族など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fseigojp
10
ヤマト建国が3世紀後半から4世紀前半、4世紀後半から馬の導入と瀬戸内・北九州の重視がすすむ 5世紀末には有力天皇が上表するが、6世紀に継体の革命があり、同時期に蘇氏が台頭する 7世紀後半には蘇我も没落していき8世紀に持統の革命が完成2023/11/12
kk
9
これまでほとんど注目されてこなかった、馬飼集団との関係から蘇我氏を論じるもの。ユニークなタイトルなので、一つのネタを十倍くらい膨らましながら物凄いことを言うのかなと、半ば偏見もって読んでみたんだけど、いやいや、文献と考古学的所見に基づく堅気の本でした。すみませんでした。他方、ちゃんとした本だけに、蘇我氏や上宮王家と馬飼集団との関係についても淡々と実証してるという感じで、”So what?”という感じです。ホントはもっと仰りたいことが何かあるんじゃないんすかね。2020/01/25
Tadashi Totsuka
3
蘇我氏がどのような氏族であったのか、馬飼集団との関係を探りながら解明されていきます。蘇我氏は欠史8代の孝元天皇の後裔の建内宿禰からきているとありますが、さだかではありません。聖徳太子も非実在論がある中で、著者は、実在すると反論されています。全く、古代の日本の歴史は、わからないことが多すぎます。 その他の著者の作品も読んで古代史の理解を深めていきたい。2019/06/30
Kayo Miyashita
1
蘇我氏の正体を馬で論じきるのは難しいと感じましたが、その当時蘇我氏周辺に馬に携わる人々がかなりいたことを知ることができました。2018/09/02
かみちぃ
1
古代の馬飼い集団を通して、蘇我氏台頭の背景、そして聖徳太子不在説への反論が描かれていた。古代史は門外漢であったものの、わかりやすく書いてあったため、苦労することなく読了。 様々な資料を読み解き、更にその真偽を判断することで古代の生活を明らかにしていく古代史という学問の面白さを感じた。 しかし、聖徳太子について書かれているなんでタイトルから全く想像がつかなかった…。タイトルに再考の余地があったのでは??…なんて思ってしまった。2017/10/01