出版社内容情報
小林 惠子[コバヤシ ヤスコ]
内容説明
奈良時代、八世紀の中後半期に歌集として企画された『万葉集』は、『古今集』のような後世の歌集とは性格が大きく異なる。単に著名な歌人による秀歌を集めたものではなく、『記紀』(『古事記』『日本書紀』)成立以後の政治の実態と、正史である『記紀』に留めるわけにはいかない隠された史実を強く反映させた歌集なのだ。本書では、封印された史実を歌に託して告発するという『万葉集』の恐るべき側面を明らかにしてゆく。
目次
第1部 額田王と「天皇暗殺」(額田王は「帰国子女」だった;歴代天皇は朝鮮半島から渡ってきた;「天皇暗殺」と額田王;額田王の「最後の歌」が意味すること)
第2部 消された天皇(「持統天皇」は高市皇子である;天武天皇への呪い;悲劇の政治家・柿本人麻呂)
第3部 『万葉集』成立の謎を解く(『万葉集』の「序文」は、なぜ失われたのか;天智朝と天武朝の見えざる影;なぜ『万葉集』は雄略天皇の歌から始まるのか;天智・天武は雄略朝に映し出される)
著者等紹介
小林惠子[コバヤシヤスコ]
1936年生まれ。岡山大学法文学部東洋史専攻卒業。『記紀』を偏重する日本史学会と一線を画し、日本古代史をつねに国際的視野から見つめ、従来の定説を覆しつづける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
16
新元号が令和に決まった時のプチ万葉集ブームで書店で平積みに。バカも休み休み言え!と言いたくなる本。記紀を完全に疑ってかかり、万葉集を裏読みし、半島の歴史書は信用し、いざとなると書紀に頼る。それで整合性があるならともかく、子世代を孫世代ちすり替えたり、場所をすり替えたりして辻褄を合わせる。だいたい、航海が大変だったあの時代に、王族がそんなに行ったり来たりするものか!2019/09/15
おいさん
8
荒唐無稽過ぎてゲロ吐きそうになった。2021/11/01
コギコギ555
2
前提というか、仮定が教科書(正当な歴史研究者)の史観からかなり離れているので、読み始めの時は、????になることが多かった本書。古代史なので裏付けとなる史資料も限定される中で、『万葉集』を中心に小林先生の仮説が展開される。確かにこういうのもありなのかなーって思うんだけれど、最後の最後までうーむうーむと唸りながらの読了となる。万葉集の万葉仮名を朝鮮語読みして、歌に秘められた裏の意味をとっていくのだけれど、可能ならばあと数人同じことをやってみて、本当にそういう意味が取れるのかという検証をしてほしいとも思った。2018/02/02