内容説明
幕府の瓦解で百数十万人いた江戸の人口は、明治初年には五〇万人台まで激減した。それが明治も二〇年代となると、都市への人口集中で東京の人口は百万人台に戻る。庶民は低地に群がった。裕福な者は高台、特別な金持ちは崖っぷちに住んだ。崖っぷちに別邸を建てるのがブームとなり、それがエリートの証であったのだ。べらぼうな金持ちは、なぜ崖っぷちを望むのか?高さと威厳の相関関係は?長崎、神戸、芦屋、熱海…と広がっていった理由は何か?都市と建築の関係に着目し、現地調査を重ねてきた著者が提起する、スリリングな都市文化論!
目次
1 文豪が過ごした崖上と、崖下の暮らし(華族が住む崖の上で暮らした坪内逍遙と、その崖下で暮らした樋口一葉;崖の上の森鴎外・観潮楼からの眺め;崖上の永井荷風“偏奇館” ほか)
2 崖っぷちの心理と威厳(人は、人の上に人をつくり、人の下に人をつくる;視界から消える崖っぷち住宅―仰角55度;韜晦の修辞 ほか)
3 崖っぷちの住宅(旧グラバー住宅/長崎;風見鶏の館と北野異人館/神戸・北野;旧山邑太左衛門別邸(現・ヨドコウ迎賓館)/芦屋 ほか)
著者等紹介
小林一郎[コバヤシイチロウ]
1952年、東京・柴又生まれ。淑徳大学池袋サテライトキャンパス・エクステンションセンター、朝日カルチャーセンター千葉講師。TV、ラジオでも近代建築の魅力を紹介、「まち歩き」の視点からの建築観察が高い評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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