内容説明
韓国人の言動は、なぜ誤解されるのか。彼らの行動はなぜ、理解に苦しむのか。気鋭の社会言語学者で日韓両国の国情に通じる著者は、韓国人の心を支配する「恨」こそがすべてを解く鍵だと論じる。恨は、単に何かが失われた時の恨みではなく、いうなれば「完全なる形」のことで、これが崩壊する時、韓国人の心は混乱に陥るのだ。極端な家族主義、異常な格差社会も、みな「恨」に縛られるがゆえではないかと、著者は考察を進める。韓民族の原像に迫る、画期的な文明論!
目次
第1章 恨とは何か?(ハンの意味;民族のアイデンティティー ほか)
第2章 格差社会の恨(上昇志向と現状打破志向;恨のハングリー精神 ほか)
第3章 家族・民族の恨(ヨンさまの家族;韓流に見る家族主義 ほか)
第4章 帝国への恨(韓国と中国の間;事大主義とは何か ほか)
著者等紹介
金慶珠[キムキョンジュ]
韓国・ソウル生まれ。梨花女子大学社会学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門はコミュニケーション論、メディア論を中心とした社会言語学。現在、東海大学教養学部国際学科准教授。日韓両国で多くのテレビ番組にコメンテーターとして出演、歯に衣着せぬ発言で注目を浴びる。2005年、韓日仏教文化財団より韓日仏教文化学術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ZEPPELIN
6
シンシアリーさんによる韓国学はブログで勉強しているので、この人はどう語るかと思ったら、やはり随所に韓国の美化・正当化が入る。韓国のハンに複数の意味があるにしろ、国のトップが「千年恨む」と言った時点で歩み寄りは不可能。文化が違っても良好な関係は築けるし、隣国でも無理なものは無理。外国人が片言の日本語を喋るだけで親日家だと思ってしまうお人好しな我が国で、なぜ韓国に対して負の感情が強まっているのか、著者には永遠に分からないでしょう。シンシアリーさんや呉善花さんのような存在は例外中の例外である2015/06/03
あんさん
3
人口約5千万人で日米中などの大国や世界経済の動向の影響を受けやすく、何より朝鮮戦争やアジア通貨危機の傷あとが今なお大きいことが分かった。タイトルの「恨」は、国名にある「韓」に通じ、こうありたいという状態(これが結構大家族的かつピュアなもの)とのギャップやそこから来るストレスと理解した。日本の「和」は現実主義的だが、韓国の「恨」は理想主義的で、最後にはその理想は達成できると信じているという。2020/04/04
ミネチュ
3
この10年、韓国に関する色々な本を読んできて、自分の中で韓国についてはほぼ完結しています。つまり、もう韓国については十分理解したと思っています。この本は恨をテーマにして書かれた韓国論。よい本だと思います。でも、私にとっては「なるほど!」とか「そういう考えもあるのか!」とか「へ~、そうだったのか!」というようなことはほとんどなくスラスラと入ってくる本でした。つまりは、奇をてらった韓国論というわけではなく、至極真っ当な韓国論であり、良書であるということだと思います。韓国や韓国人について知りたい人はお勧めです。2018/07/28
BluePlanet
3
★3.8 2015年5月10日発行。よく恨の国・韓国と言われるが、どうも日本人は「恨」という言葉に誤解させられたようだ。韓国人の心を支配する「恨」とは、単に何かが失われた時の恨みではなく、いうなれば「完全なる形」のことで、これが崩壊する時、韓国人の心は混乱に陥ると。韓国の家族主義、格差社会、事大主義、定帝国主義と議論は色んな所に韓国の恨と絡め、かつ日本の事例と比較するが、韓国の歴史上、地理上置かれた位置を理解できない日本人には永遠に理解できないと思った。それをなんとか解説しようとする著者の努力には脱帽。2015/07/12
烏野
1
「恨(ハン)」はどうしても恨みと呼んでしまい、おどろおどろしいイメージがある。韓国では恨(ハン)はひとつであると同時に、全てを意味する概念という説明が冒頭にある、そんな違いが面白いなと思いながら読んだ。 『ひとつであり、すべてであり、中心であり、正しさでありながらも、最後はふたたび混沌からやり直すことも厭わない、韓国人の恨。』P169 2018/09/26
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