内容説明
1970年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決を遂げた三島由紀夫。その理由を巡っては様々な解釈が試みられてきたが、どれも十分とはいえない。それは表現者としての三島と、実行者としての三島との関連を解き明かしていないからである。だが、その答えは、生涯にわたる三島の作品の中にあった。戦後日本への期待を裏切られ、次第に批判を強めていくなかで、三島はさらに、もはや“神”ではなくなった昭和天皇を否認し、代わって自身を“神”としようとするに至った。『潮騒』から『豊饒の海』まで、一連の作品を読み解くことを通して、三島の自決への軌跡をダイナミックに浮かび上がらせる。
目次
第1章 三島の自決はどう捉えられてきたか―否定から共感へ
第2章 物語を動かす「他動的な力」―『潮騒』における日本回帰
第3章 「教育的」な放火―『金閣寺』と対米従属批判
第4章 不在の家長たち―『鏡子の家』と“天皇”の表象
第5章 現実への断念と彼岸への超出―『サド侯爵夫人』と戦後日本批判
第6章 「みやび」としてのテロリズム―二・二六事件と『春の雪』
第7章 世界を存在させる「流れ」とは―『豊饒の海』の転生とアーラヤ識
第8章 “神”となるための決起―『天人五衰』と一九七〇年十一月二十五日
著者等紹介
柴田勝二[シバタショウジ]
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。博士(文学)。1956年生まれ。1986年、大阪大学文学研究科芸術学専攻単位取得退学。山口大学助教授などを経て現職。専門分野は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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