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祥伝社新書
お金から見た幕末維新―財政破綻と円の誕生

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784396112196
  • NDC分類 342.1
  • Cコード C0221

内容説明

幕府から政権を奪ったものの金はなく、明治政府は財政破綻からのスタートだった。同じ日本でありながら東国は金貨、西国は銀貨が流通し、それぞれの品質も違えば交換相場も日々変わる。おまけに各藩が発行した藩札の処理。近代国家を目指す新政府にとって、焦眉の急は、単位が統一された通貨制度の確立にあった。だが、その道は困難を極め、財政的な綱渡りを繰り返していく。「円」は明治四年になってやっと生まれ、日本銀行は十五年に誕生。初めての紙幣が発行されたとき、明治はすでに十八年になっていた。新政府の財政を立て直し、国の根幹をなす貨幣制度を作りだした、大隈重信、渋沢栄一、松方正義ら、経済官僚たちの創意工夫と苦闘を描く、もう一つの幕末維新史。

目次

第1章 幕末の財政破綻―戊辰戦争の軍資金は、いかにして調達されたか
第2章 新政府、苦肉の財政立て直し―三岡八郎の登場と太政官札の発行
第3章 「円」は、いかにして生まれたか―大判小判の世界から、新貨幣の世界へ
第4章 日本初の貨幣鋳造工場―近代化への生みの苦しみと、大隈重信の執念
第5章 藩札、太政官札の退場―箱館戦争の終結、中央集権体制の確立へ
第6章 「明治通宝」札の登場―初の「円」紙幣発行、通貨統合の完成
第7章 「国立銀行」誕生の怪―なぜ、一五〇種を超える銀行紙幣が発行されたのか
第8章 最初の肖像は神功皇后―悲願の国産紙幣が印刷機にかかるまで
第9章 松方財政と日銀の誕生―二〇年かけて完成した通貨流通体制

著者等紹介

渡辺房男[ワタナベフサオ]
1944年、甲府市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後NHKに入局、文化番組などを数多く手がける。99年『桜田門外十万坪』で歴史文学賞を、『指』で世田谷文学賞を、2001年『ゲルマン紙幣一億円』で中村星湖文学賞を受賞。明治時代に材を採った歴史経済小説の書き手として注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

65
日本近代の通貨成立史とでもいうべき内容で、金貨の改鋳に始まり、太政官札や藩札の乱発から銀行制度の少々混乱含みの成立を経て、日本銀行の成立と日本銀行券の発行までを描く。著者が研究者ではなくテレビ番組制作者であるため、語り口が柔らかく軽快で、読みやすい。一方きちんとした取材に裏付けられているので、内容もしっかりしていて面白かった。ただ、歴史的な評価の部分は少し端折りすぎな印象。例えば明治14年政変の項を読むと、うっかりすると大隈が五代に官有物を払い下げたとも読める書き方、議会開設時期の対立も出てこない。2022/04/11

KAN

12
明治維新前後、戊辰戦争・西南戦争・多くの混乱、戦役に際して当然ながら経済的制約、財政政策が必須だけれど、その基礎となる貨幣政策はあまり歴史には描かれていないので、太政官札とか藩札とかは知っているけれどどのような経緯でそれが「円」という日本国通貨へと移り変わっていったのかがよくわかる。銀行制度というものへの移行、それは良くも悪くも日本の西欧化の前提でもあるということかな。2022/05/08

月世界旅行したい

12
なんだかんだで江戸時代から商業国家であったことが大きいですね。2015/07/31

スプリント

8
財政・通貨整備の観点から幕末維新をみるとよくぞ国家として存続できたなぁと、いまさらながら驚嘆します。2016/05/14

キムチ27

6
正直、つまらなかった。「終わりに」の3ページだけ、やっと内容が伝わってきた。確かに事象を連ねて、人物を浮き上がらせるのは小説だし、これは新書だからそれを期待する方が無理とはいえ・・。明治期に興味深々だけに、もっと生臭いどろどろが見えるかと思った。キヨソネの描いた神功皇后が高貴な西洋人そのものの風貌には笑えたけど。当時ではそうであったろうと逆に面白い。 上層部に連なるモノたちが必死で遅れまいと西洋のしっぽを追いかけた空気は伝わった。2013/02/18

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