内容説明
本書は「だまし」をテーマにした本ですが、詐欺に合わない方法を教えるとか、他人の心を読んで誰かをだます技術を伝授する本ではありません。人は無意識のうちに自分に都合よく情報を歪めて認識しているのです。例えば、騒々しいパーティ会場で誰かに声をかけられたときに、知人の声だけは耳に飛び込んでくるとか、自分の失敗はさまざまな要因が加わって、仕方がなかったと思ってしまうことはないでしょうか?これこそ、自分に都合よく情報を歪めて認識する「自分だまし」なのです。この「自分だまし」を正しく理解し、上手にコントロールできれば、公私にわたり物事がうまく運べるようになるのです。
目次
1章 なぜ人は「だまされる」のか
2章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている
3章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする
4章 無意識のだましと、上手につきあう心構え
5章 「自分のだまし方」を身につければ、物事はうまくいく
6章 おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ
著者等紹介
菊池聡[キクチサトル]
1963年埼玉県生まれ、京都大学教育学部卒、京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。現在、信州大学人文学部准教授、専門は認知心理学。超常現象や占いを信じてしまう心や、批判的思考のあり方などを幅広く研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みどるん
3
バイアスの存在を常に意識しよう。誰もが自分を保つために、無意識に都合の良い情報を選択取得しているのは間違いない。ノンフィクションが真実ではないのと同様、自分が真実を見ることは難しい。2014/08/06
taka
1
再読。10年ほど前の発行ですが、素人には十分勉強になる内容です。人間の情報処理(情報のインプットから考察、アウトプット)は事実どおりにはいかず、無意識によって書き換えられるということがとても分かりやすく書かれています。どんなに注意しても自分の自分に対する「だまし」、つまり都合のいい解釈は無意識に行われることを覚えておきたいと思います。人と話してても、自分の話したことが言葉通り受け取ってもらえないことはよくありますが、相手に悪意はなくとも無意識に情報が変換されている可能性がありますね。2017/06/22
Uzundk
1
自分はだまされないぞ、と思えども自身が世界を認識するその最初からかなりの"うそ"が混じっている。見たいモノを見て、聞きたい言葉を聞いてそれが自分に都合が良いほど真実だと感じるように出来ている。ここでは自分が"だまし"と上手く付き合っていく事で、だまされたり、もしくは正確な悲観予想に落ち込むこと無く生活をすることをすすめている。自分という存在を捉えなおす、自分をコントロールするのに参考になった。2014/10/06
遊歩者
1
「だまし」を認知心理学の知見を用いて、分析していく本。喩えが様々で、面白かった。タイトルだけ見ると、易い自己啓発本に見えてしまうのが、何か残念。2013/04/06
Humbaba
1
多くの人間が「客観的」な情報を収集して自分は平均よりも上回っているという判断を下している.しかし,大多数が平均以上ということはほとんどあり得ない以上その「客観的」な事実は実際には自分に取って都合の良いように集められたものである.2009/06/04