内容説明
近年、原発反対運動が盛りあがり、推進派を悪魔の手先のように感情的に非難する風潮が出来上がったのは残念だ。これでは、真面目にエネルギー問題を語る人間まで“魔女狩り”に遭いかねない。一方、石油や石炭をボンボン燃やし、かってない繁栄を手にはしたが、その副作用による環境破壊で、地球そのものの破局が始まっているのが、現代社会である。著者は当事者の1人として、なぜ原発が必要かを全地球的視点から熱っぽく説き、その上で日本の原発の安全性を明快に説く。
目次
1章 「原発廃止論」に潜むエゴイズム―人類に共通する幸福の条件は、エネルギーが使えることだ(途上国から、誰が文明を奪えるのか;エネルギーを使うと寿命が延びる)
2章 このままでは「地球」が溺死する―美しい地球を次の世代に残すために、なぜ石油・石炭ではダメなのか(異常気象は瀕死の地球の赤信号;地球防衛、明日では遅すぎる)
3章 人類にとって科学文明とは何か―科学技術の放棄は、結局は生命を脅かす(科学技術とどう付き合ってきたか;今、何が生命を支えているか)
4章 石油―戦略物質からの脱却(何が石油供給を安定させたか;失われゆくセキュリティ・マージン;石油戦略90年代のシナリオ)
5章 日本の「原発」が、安定度抜群の根拠―人類史上最大エネルギーと共存する技術を検証する(「核」に敏感だから安全性が高い;原子力は人間に牙を剥くか;世界一安全な原発を支える技術;原子力ならではの強み)
6章 明日のエネルギー戦略を考える―日本に必要なのは、エネルギー源の分散とバランスだ(世論はなぜ揺れ動く;先進国、さまざまな選択;石油・原子力以外のエネルギーの現状;エネルギー多神教のすすめ)