出版社内容情報
元警視庁の狭山九郎太が、大正時代に起きた国際的秘密組織に関わる大事件「暗黒公使事件」の顛末を語る。
謎の美女や美少年が登場の怪しい世界、全く古さを感じさせないミステリ!
内容説明
大正九年のある日、警視庁で鬼課長と言われた狭山九郎太の元を、蝋人形のように真っ白な美少年・呉井嬢次が訪れた。ニューヨークからやって来た呉井は、狭山の助手希望で、以前はバード・ストーン曲馬団に属していたという。だが、その曲馬団は、帝都を震撼させた「暗黒公使事件」に関わっていたのである…。四方田犬彦氏講演録「よみがえる夢野久作」から「『暗黒公使』の世界」の章を再録。
著者等紹介
夢野久作[ユメノキュウサク]
1889(明治22)~1936(昭和11)年。本名・杉山泰道。福岡県生まれ。慶應義塾大学予科文学科中退。父は国士として知られた杉山茂丸。家業の農園経営、「九州日報」記者などを経て、1926(大正15)年、「あやかしの鼓」で探偵作家としてデビュー。夢野久作は福岡の方言で「夢ばかり見ている人」の意(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
22
戦争に向かう時流を背景とした探偵活劇。ホテルでの怪死事件を足跡の手掛かりから推理する探偵小説らしいくだりから国際的秘密結社の暗躍へと繋がる風呂敷の広げ方はエンタメ性抜群。ただし面白がるにはスッと入っていきにくく、過去の話の中で手紙が挟まって独り語りが展開されたり、いきなり場面が曲馬団のプログラムに飛んだり、作者のクセなのだろうけどストーリーの流れが入ってきにくい。文語表現もあって軽い読み心地に対して読み砕きが必要だった。ラストも狭山が全く関係しない形で決着しちゃって変に小さくまとまっちゃった。2025/02/18
春ドーナツ
13
そのお名前(あるいは書名)はどこかで聞きかじったことがある。読書を続けていくうちに、そういうのがそれなりに貯金箱のようにたまってくるものだと思う。ここでYのように私の先で道は分かれる。読むか否か。一寸先は闇、悔いのない読書。という標語のようなものが私の脳裏に浮かぶ。今年を振り返ると「せっかくだから」の一年だったと思う。本選びも意識的となった。「ドグラ・マグラ」ではなくて、なぜ本書なのか。先日文庫で新刊が出たからだ。このままだと「ドグラ・マグラ」は読まないで終わるかも知れない。プランBだ。文章の肌触りを感ず2024/12/26
シビップ
1
期待していた夢Q作品ではなかった。「ドグラ・マグラ」のような狂気も無く、「瓶詰めの地獄」のようなタブーに触れる危うさも無い。探偵小説とあるのでミステリかと聞かれるとよくわからないと答えざるを得ない。途中までは復讐劇と理解していたが、ラストの展開は何なんだろうね。夢Q未読作品で、文字も大きく印刷してある。これは読まざるを得ないと意気込んだがかなりの期待ハズレであった。2025/01/03
冬至楼均
1
あの父親を考えると、こういう話もありなのかなと思う。 2024/12/17