春陽文庫<br> 化人幻戯

春陽文庫
化人幻戯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784394301288
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

25歳の独身青年庄司武彦は、もと侯爵大河原義明の秘書役をつとめることになった。大河原家の若い夫人由美子は、もと大名華族のお姫様であり、その美貌に武彦はひかれた。大河原家に出入りするふたりの青年、姫田吾郎と村越均の間には険悪な空気が流れていた。熱海魚見崎にある別荘にでかけた大河原夫妻と武彦は、切り立った断崖から海面へ転落していった姫田の姿を双眼鏡で見た。姫田ははたして殺されたのであろうか。浴室の中で妖しくゆらめく由美子の桃色のからだ!美女をめぐる怪事件のナゾとは?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めしいらず

60
再読。乱歩自身は力を注いで書いたが失敗作に終わったと書いている。確かに終盤に至るまでは正直言って凡作だと思う。ところがだ。最後の10ページで明かされる異様な殺人動機は、それまでの凡庸な印象を吹き飛ばして余りあるものだ。その稚気。その凄絶さ。その悦楽。その悲哀。それらが強烈な説得力を伴って読者に迫るのだ。カマキリの隠喩が最後に至って効果を上げていて素晴らしい。2019/09/16

shiaruvy

11
★4.5 [1988.03.01 初版] 夢野氏作品の突破ずれた狂気と違う,常識人の誰でもが心に持つ狂気の描写は大乱歩ならでは。 覗き趣味に淫妖婦なぞはまさにその典型だろう。 ぞくっ,ぞくっと感が半端ない。2013/01/30

makersat

8
犯人が主役の犯罪小説という印象を受けた。明智探偵が真実を看破するも、最後は完全に気圧されている。圧倒的存在感を誇る犯人の物語である。それは、表題が化人幻戯(化生の者の幻術的戯れ)となっていることからも読み取れる。誤解があるといけないので軽く訂正を入れるが、犯人は「犯罪が大好きだぜ罪を犯したくて仕方ないぜ」という人物ではない。ある種の性癖として人を殺さざるを得ない化生の者なのである。人間は誰しもそういうところがあるとまでは言わないが、一つの要素として潜んでいるのかもしれないと、心の片隅に留めておくとしよう。2016/05/02

えみー!

7
「愛しすぎて食べたくなる」みたいな..。 カマキリの話で、犯人の異常さは、不気味というより、ただ動物的にも見えてくる。いや、美人は得だ。何をやっても醜くならない。魅力的な犯人だった。 細かいことは気にならない、ぐいぐい引き込む力があるなと思う。しかも作家の名前までを登場させちゃうところが粋である。 そして、日記を信用してコロッと騙された。2013/09/14

カニック

6
ミステリーとしては凡庸だか犯人の狂気と変態性に乱歩らしさが際立っていました。2021/09/12

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