内容説明
青梅街道田無村外れの疎林の中で、着流しの浪人者と若侍とが必死の刃を交えていた。若侍三波雪之介には浪人山根大四郎は父の仇であったが、その剣では敵すべくもなかった。丸岡藩普請奉行の三波兵衛を斬ってしまった義父の勘定奉行堀三左衛門の身代わりとなり、罪をかぶって藩を捨てた大四郎だったが、その陰には三左衛門の企みが…。江戸へ向かう山根大四郎の孤影に小唄の師匠お柳が道連れになった。そのお柳には跡を追う怪しの一団が、追われる身の大四郎は、さらに高遠藩3万3千石をめぐる世継ぎ争いの渦中にまき込まれていった。流浪の剣鬼秋山要介、本所深川の“すね者”勝太郎(勝海舟の父)、“おしかけ子分”怪盗ねずみの小次郎らの支援を得て、山根大四郎とお柳の運命は。