内容説明
生成変容する音楽文化。文化の記憶、批評の射程。音楽から時代と世界を捉えるダイナミックな現代社会批評。
目次
音楽、没論理の誘惑
「曲弓理論」の暴走―何が見方をくもらせるか
正統・非正統二分法のアヤ―生きた西洋文化の原型とは
「オスタルギー・ブーム」のメッセージ
マンネリと改革―独創性をめぐる議論のために
異文化理解への視座
「過剰な無駄」の効用―文化創造の側面
音楽ジャンルの離合集散が意味するもの
モンマルトルの記憶―シャンソン・イメージの変容
『炭坑節』保存の顛末―「世界遺産」の幻影〔ほか〕
著者等紹介
渡辺裕[ワタナベヒロシ]
1953年、千葉県生まれ。83年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学。東京大学助手、玉川大学専任講師、大阪大学助教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授(美学芸術学・文化資源学)。著書に『聴衆の誕生』(1989年、春秋社、サントリー学芸賞)、『日本文化 モダン・ラプソディ』(2002年、春秋社、芸術選奨文部科学大臣新人賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖
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「純粋」な音楽とは?「正統」な文化とは?産業としての音楽と芸術としての音楽。社会と音楽との付き合いを一歩下がった所から綴ったエッセー集。 読みやすかった。昔のオリンピック競技に「音楽」の種目があったとは驚き。2012/09/01
moco*
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今回も渡辺節が満載でとても興味深く読めた。学問とは「多少引いたスタンスをとって、目先のことからだけでは見えない多様なデータを提示し、少しでも多角的な見方を可能にして世の中が短絡的に流れてゆくのを防ぐ」ものであるという著者の姿勢が充分に表れていた。文章中で取り上げられている様々な音楽(音楽以外のものも満載…笑)を自分の耳で確認しつつ、再読したい。2012/04/20