内容説明
資料批判から音楽の根源に迫るベートーヴェン学の礎。ピアノ作品の歴史的理解を導く重要な論考等、音楽学研究の確たる内実を示した労作。
目次
1 ベートーヴェン・ピアノ音楽の歴史的理解のための序論
2 歴史的伝統に根ざす演奏法(ベートーヴェンのスタッカートの意味について;ピアノ曲における装飾音の解釈)
3 資料批判に基づく楽曲研究(第五交響曲について;田園交響曲について ほか)
4 若きベートーヴェンと音楽史のなかのボン(ラインの故郷は何を与えたか;十八世紀のボン ほか)
5 クライネ・ベートーヴェニアーナ(私にとってのベートーヴェン;ベートーヴェンのエディションについて ほか)
6 音楽家としてのカスパール・アントン・カール・ヴァン・ベートーヴェン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Wataru Hoshii
2
世界的なベートーヴェン研究の第一人者だった、児島新氏の文章をまとめたもの。なかなか手強い音楽論文がいくつも含まれているので、読み進むのは結構大変。でも、ヴァイオリン協奏曲の自筆譜に残されたヴァリアンテ(ソロの別ヴァージョン)の研究のほか、ベートーヴェンとボンの音楽状況についての概説、ボンのベートーヴェン研究所の話、そして音楽家だった弟カスパールについてのあまり知られていない事実など、一般の音楽ファンにも面白い内容もあるので、ベートーヴェン好きにはオススメ。2016/03/09