内容説明
17世紀から20世紀の間に主流となった音楽分析(アナリーゼ)の方法を概観し、音楽の捉え方の変遷を追う。言語や論理、時間や有機体などに仮託し、様々な図式化・言語化・記号化することで繰り返されてきた「音楽」探究の営み。
目次
第1章 言語としての音楽
第2章 文法としての音楽
第3章 弁論としての音楽
第4章 論理としての音楽
第5章 精神としての音楽
第6章 時間としての音楽
第7章 有機体としての音楽
第8章 表象としての音楽
第9章 様式としての音楽
著者等紹介
久保田慶一[クボタケイイチ]
1955年、大阪生まれ。東京芸術大学音楽学部、同大学大学院修士課程を修了。1999年、東京芸術大学より博士(音楽学)を授与。ドイツ学術交流会の奨学生として、ドイツ連邦共和国のフライブルク大学、ハンブルク大学、ベルリン自由大学に留学。東京学芸大学教授を経て、国立音楽大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
49
17世紀から20世紀にかけての「音楽分析」の道のりを辿る。歴史の時間軸を追うのではなく、言語/文法/弁論/論理/精神/時間/有機体/表象/様式の9つのテーマにパラフレーズして要点が詳述され、作曲法でもなく音楽批評でもない「音楽分析」という学問が切り開いた地平の大きさが実感できる。私たちは、ラモーの和声論、コッホの旋律論、リーマンの機能和声、シェンカーの構造分析などを柱として音楽分析の手法を学んでいるが、それらの背景や神髄をこうして多面的に説明できるのは、流石に久保田先生ならではだと思う。貴重な一冊である。2020/06/10