感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブロッコ・リー
7
まず1960年に出版されていたことに驚く。今の日本や世界の民主主義の停滞を予見しているからだ。ハイエクは個人や政府でさえも無知であり、社会に広く分散している知を利用して予見不可能な事象に対応する仕組みは自由市場しかないという。この点全てが理性によって統制可能と想定する近代合理主義とは異なる。また「社会的正義」に向けた重大な疑念についても鋭く解説する。それは法の下の平等から導き出される「機会の平等」概念の胡散臭さについてである。社会的正義の名のもとに機会の平等は「羨望」を内包するからだ。日本社会を見れば、2021/11/06