内容説明
こんど生まれかわるのなら私は人間になりたくありません。私は貝に生まれるつもりです。そうすれば戦争もない。兵隊にとられることもない。妻や子どもを心配することもないのです。戦争に翻弄された一市民の衝撃の手記。
目次
狂える戦犯死刑囚
戦争は犯罪であるか
私達は再軍備の引換え切符ではない
水洗便所の水音
私はなぜ「貝になりたい」の遺書を書いたか
恩師への手紙
獄中から家族に宛てた手紙
著者等紹介
加藤哲太郎[カトウテツタロウ]
1917年東京生まれ。1940年慶応義塾大学経済学部卒。北支那開発株式会社入社後、応召。野砲兵連隊所属から語学力を買われ俘虜収容所勤務となる。敗戦後はBC級戦犯として絞首刑判決を受けるが、マッカーサー元帥の再審命令で減刑、のち釈放される。1976年病没
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感想・レビュー
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sk4
48
【歴史認識】という言葉が叫ばれているけど、今を生きてる人たちの誰の言葉を聞いても、誰かにとって都合のいい話にしか聞こえない。 本書を読むと、戦争、そして戦後処理の一つの側面が見えてきて、安倍晋三首相(自由民主党。2013年現在)がどういうプロットに従って動いているのかが分かる。なんだか推理小説みたいに張り巡らされた伏線が見えてきました。 もっといろいろ読んで知らないと、何も知らない、感じないでただ生きるだけの貝に本当になってしまう。 自分の無知が怖いです。2013/06/30
ロッキー
16
前半の戦争について語る部分は面白かった。やはり当事者の言葉は重い。大物はゆうゆう自適し、雑魚ばかりが引っかかる。これが戦争裁判の実相だ(57頁)このような理不尽を抱えていたことがわかる。途中の家族に当てた手紙と最後の著作権に関する記述はそこまで興味をそそられなかった。2014/03/11
あけさと@ぷに
13
第二次世界大戦、俘虜収容所のことやBC級戦犯のこと、初めて知ったことが多く、難しい表現もありましたがなんとか読み切りました。著者は本当に戦争を憎んでいることが伝わってきました。2013/06/30
Wisteria
7
ドラマや映画で有名なこの題名。てっきりノンフィクションかと思っていたらあのお話は創作だった。生き長らえた加藤氏がそのあたりも含めて語るこの本。ハッキリ言って読みにくかった。2018/01/12
mimm
6
ドラマの原作本を見てみたいと思って(と言ってもドラマも映画も観たことはありませんが)借りてみたら…え?あれって盗作が元の完全フィクション?!原作の遺書や叫びが生々しく、よく死刑から生きて帰ってこられ、貴重な手記を見せてもらうことができたと、有難く思う次第です。先にチャンギーを読んでいたので、この後半の盗作はかなりいらっとしました。もうTVのフィクションは観ようとも思いません。あと本当に裁かれるべき人が罪を逃れ、平和を享受し、大物としてのうのうと偉そうにしている人もいるかと思うとものすごく腹が立ってきます。2012/01/26